コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: †4人の死神と囚われアリス† ( No.236 )
日時: 2013/08/25 16:54
名前: 珠紀 (ID: R.nHzohl)

→『トーマを選んだあなたへ†ダイヤの世界†』

「花火ぃい!?」

トーマさんの声が響く。

「はいっ一緒にやりませんか?」

露骨に嫌そうな顔をするトーマさん。

「誰と」

「トーマさんと」

「誰が」

「私が」

「何で」

「したいからです」

にっこり笑みを浮かべてる私に反して、トーマさんは何もしていないのにどっぷり疲れた顔をしている。

「あーっあれだ、アズサとか喜ぶんじゃねぇの?」

「私はトーマさんとしたいんです!」

ずいっと迫ると一歩下がられる。

「今日は打ち上げ花火もやるそうなんです!」

「ならやんなくていーじゃねーかよっ」

「手持ち花火もしたい気分なんです!」

私は頑固だ。

「…めんどくせーな」

短く舌打ちをすると私の持っていた花火を取り上げる。

「え?」

「花火。やるんだろ?」

ライターで火をつけ花火の棒につける。

線香花火だ。

「…わ…あ…!…綺麗」

「…」

「…」

2人して黙り込み線香花火を見つめる。

「…線香花火ってさ」

沈黙を破ったのはトーマさんだ。

「………………悲しいよな」

彼の横顔を見つめる。

暗くてあまり分からなかったが、花火の光に照らされたトーマさんの顔は悲しそうに微笑んでいた。

「…綺麗なものほど…儚い」

「え?」

ぼそりと聞こえた言葉に耳を澄ます。

顔を上げるのと同時に目線がパチリとあった。

「…アリス」

「!!?」

彼はあまり私の名前で呼ばない。

いつも“おまえ”や“おい”と呼ばれるばかり。

トーマさんの手が私の頬にそっと触れた……