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Re: †4人の死神と囚われアリス†*8/25* ( No.245 )
日時: 2013/08/31 18:45
名前: 珠紀 (ID: jBnjPLnI)

目と目が深く絡み合う。

それだけで胸がトクトクと大きく跳ねた。

「トーマさん…?」

「お前も…」

「え?」

顔がゆっくり近づいてくる。

反射的に目を瞑ってしまう。

「……………」

だけど、想像している感触はいつまで経ってもこない。

そっと目を開けると片方の手で口を抑え笑いを堪えているトーマさんの姿。

「ト、トーマさんっ!」

恥ずかしくなり顔を真っ赤にして名前を呼ぶ。

「お前のキス待ち顔、すげーブス」

言葉は酷いが優しい笑みを私に向けてくる。

それと同時に頬を軽く抓られた。

「いらいれふ」

『痛いです』

そう言いたいのに変な言葉になる。

「…いなくなるなよ…?」

小さい声だったが確かにそう聞こえた。

どういうことか分からず無意識にコクリと頷く。

「ん」

短く返事をして私の頬から手を離す。

…なんか、今日のトーマさん…優しいような気がする。

…花火もつきあってくれたし。

ーヒュ〜…………ドンー

打ち上げ花火が始まった。

「う…わ、あっ!」

大きく花開いた花火の光が私たちを照らす。

「今日は優しいんですね…」

不意にそんなことを口走ってしまう。

チラリとトーマさんを見ると花火を見つめていた。

「…昔のこと思い出してな」

…昔のこと?

それと優しいことと何が関係あるのか…

そんな疑問をもちながら私はトーマさんと一緒に花火を見つめた。

END