コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: †4人の死神と囚われアリス† ( No.277 )
- 日時: 2013/09/20 23:27
- 名前: 珠紀 (ID: IVNhCcs6)
走って…
走って…
走って…っ
ルキの元へ向かう。
ルキに会って何をしようとか、何を言おうとかそんなの考えなしだった。
ただ『ルキに会いたい』
その思いだけでひたすら夜道を走る。
「ーっはっはっ…はあっ…」
ルキがいつもいる教会の裏に着き荒い息を整える。
「っ…はっ…ぁ。ルキは…」
キョロキョロ見渡しても辺りには誰もいない。
「!?」
不意に近くの茂みから音が聞こえた。
ぎゅっと拳を握り締め一歩…二歩と後ずさる。
「やっと見つけたぞ」
出てきたのは…
「俺のアリス」
気味の悪い男。
「だ、誰…」
「なぁ、俺を神にしてくれよ…。お前の血肉を喰えば永遠の命が約束されるんだろう?なぁ?」
気持ちの悪い笑顔を浮かべ、男は動物のように涎をダラダラと垂らしている。
「ーっきっっ」
恐ろしくて声が出ない。
ー助けてっっ!
「アリス!!!!!」
心の叫びが伝わったかのように誰かの声が響いた。
強く瞑っていた瞳をあけると、そこにはルキの姿が。
「ル……キィイ…っ」
気が緩み涙が浮かび上がる。
「…っお前!こいつに何のようだっ!」
「……喰うんだよ」
狂ったように笑い声をあげ、私をにたりと見つめた。
「今なぁ」
そう言って私に銃を突きつける男。
引き金が引かれるその瞬間素早くルキが動く。
「やめろぉおおおおおおおぉお!!!!!!!」
ナイフを持ったルキが男にとびかかる。
“人殺し”
スバルの言葉が頭に流れ込む。
「っや、だめぇぇえええぇえぇえルキ!!!!!!!」
とっさにルキの前に飛び出す。
ーグシャー
鈍い音…
「…っあ」
痛い。
下を向くとお腹に奥まで刺さったルキのナイフ。
「…っぁああ…ぅああ」
ルキは叫びにならない声をあげ私に刺したナイフを掴んだまま。
「血ぃいいーっ!血ぃいいっっ!…っがっ!」
男が喜びの叫びをあげたかと思うと、急に苦痛の声をあげ静かになる。
「…死ね、世間のカスが…」
アズサ君だ。
男が持っていた銃を取り上げ頭一弾。
「…っぅあ…」
そんなのにも目もくれず、ゆっくりとナイフから手を離すルキ。
私の身体が地面に滑り落ちる。
「アリス!」
アズサ君に倒れた状態で抱きかかえられる。
「…っどうして…こんなっ」
ポタポタとアズサ君の涙が私の頬を伝った。
この前まで感情の表現ができなかったアズサ君が泣いているのだ。
「…泣いちゃ…だ、め…笑って……っね?」
痛い…苦しい…
だけど声を振り絞って彼の顔に手を添える。
「私、ね…アズサく…んの笑った……顔大好きなん…だぁあ」
「っうん、笑う…笑うから…っアリスがこの顔好きならずっと…笑うから…っっ!」
「う…ん」
『よかった…』
そう言おうとして身体の力が一気に抜けた。
「…アリス?……アリスッ!」
アズサ君の呼びかける声。
何も聞こえない。
何も…聞こえなくなった…
私の身体が光となり空に消えていく…
まるで蛍のような輝きに目が奪われた。
「っあぅあああぁぁぁああああぁあああぅあぁぁぁああああぁあっああぅぁぁああぁああぁあ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
この叫び声がルキのものなのか、アズサ君なのか知るゆしもない。
ただ残ったのは…
光を失った瞳で呆然と地面を見つめる少年と…
枯れ果てた涙の…憎しみの瞳で少年を睨むもう1人の少年の姿ーーー…