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Re: †4人の死神と囚われアリス†*『第1回人気投票』※開始です* ( No.340 )
日時: 2013/11/04 23:31
名前: 珠紀 (ID: AxfLwmKD)

本編続き>>311

「違う…違うよ。アズサ君の手は汚れてなんかないっ」

頬に当てられた手を力強く握りしめる。

「ありがとう」

だけど、微笑んだアズサ君の瞳は私の言葉なんか届いていないかのように黒く真っ暗だった…

−コンッ−

不意にノック音が聞こえたかと思うと、扉がゆっくりと開いた。

「ルキ…」

アズサ君の目が細くなる。

「出てけ。アリスはもう記憶を取り戻した…お前との仲良しごっこは終わりだ。僕はお前を許さない、一生」

そうだ。

アズサ君は勘違いしている。

ルキは私を殺したくてナイフを突きつけたわけじゃない。

…私があそこでルキの目の前に飛び出したから…

ルキは私を見て、顔を歪め逸らした。

「…っっルキは悪くない!あの時私を守ろうとしていただけ」

「…ど…ういうこと?」

驚いたように目を見開きアズサ君は交互に私とルキを見た。

「ルキは撃たれそうな私を助けようとして男にナイフを突きつけたの…それを止めようとした私が、飛び出してしまっただけ…」

「……」

呆然としてアズサ君は黙ってしまった。

…すべては私から始まった悲劇

歯車を回したのは私自身だった。

                  …†††…

「…」

アズサ君の部屋から出た私はずっと下を向いたままのルキを見やる。

「ルキ…」

「な…んだ…」

私が記憶を失っていた頃のルキとは別人のように弱々しい。

私はこの人に会いたくて、あの日…スバルの言葉を無視してまで会いに行った。

そう、やっと…

「会いたかった」

驚いて顔をあげたルキに微笑みかける。

「あの日、私はルキに会いに行ったんだよ」

何を伝えるわけでもなく

ただ、会いたかっただけ。

「………」

ただ無言で私を見つめる…

だけど、その瞳は私を長くとらえることはなかった。

「………もう、夜明けだし朝ご飯作りに行くね」

ルキに背中を向ける。

と、その最中に腕を引かれ後ろから抱きしめられた。

ルキの腕ががっちりと私を包む。

「ご…め、ん」

掠れた声。

「俺も」

『会いたかった』

そう言われた気がした……