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Re: †4人の死神と囚われアリス† ( No.396 )
日時: 2013/12/21 21:57
名前: 珠紀 (ID: atRzAmQi)

†Subaru Christmas love†

「うわぁ……すごい人。相変わらず人気なんだなぁ」

『Christmas』

私とスバルはとある場所に来ていた。

『伝説の花が咲く公園』

その伝説の花は桜のような形をした真っ赤な花だった。その花を恋人同士で交換しあうと綺麗に花開くというらしい。

その噂でそこは既に観光客でいっぱいだった。と、突然スバルの携帯が鳴る。

それに出たスバルは眉間にシワを寄せ私の方を見て電話の相手に返事をする。

「やだ」

だけどその相手は、スバルが携帯を切らないのを察するに諦めが悪いらしい。少し考える仕草をしたスバルはまた私をチラリと見て溜め息をついた。

「分かった…今から行く」

ようやく電話を切ったスバルは私の頭に手をおく。

「ごめん…トーマに呼ばれた。すぐ戻る、待ってて」

シュンと眉毛を下げた顔がとても可愛らしい。

「うん、分かった」

笑顔で見送ると私は腰を下ろせそうな場所を探して、スバルが戻ってくるのをじっと待つ。だけど、花の蕾を手に寄り添いあう恋人たちの中、たった一人でぼんやりしているのは少し居心地が悪くてーー。

スバル、早く戻ってきて……トーマに呼ばれたって言ってたけど、何か問題でも起きたのかな

私は小さくため息をついた後、空を見上げる。すると、先程までの晴天とは打って変わって、分厚い雲が空を覆い始めていた。

雨が降りそうだと思った矢先に、ぽつりと小さな水滴が頬をかすめる。

「きゃっ、大変……!雨が降ってきたみたい」

「あぁ……本当だ。ここにいたら濡れそうだな。そろそろ行こう」

「うん、私お腹が空いちゃった」

雨脚が強まるにつれ、観光客たちが蜘蛛の子を散らすように走り去る。

私も、どこか屋根のある場所に移動した方がよさそうだけど……この辺りには、雨宿りできそうな場所があまりないし……すぐ止むかもしれないから、もう少しだけ待ってよう、はぐれると面倒だから、ここを動かない方がいいし

だけど、降り出した雨は止むどころか強くなる一方で……。水を吸って重くなった髪や服がぴったりと身体に張り付く。

誰もいなくなった公園にたった一人残された私は、次第に泣きたい気分になっていた。

だけど、急に暖かさに身体が包まれる。

「え……!?」

急に真っ暗になり、私は慌てて立ち上がる。

「……馬鹿。こんな姿になるまで待つな」

「スバル……!!ご、ごめんなさい。屋根のある場所に行こうと思ったんだけどもう少し待てば、やむんじゃないかって……」

「アリスは謝らないで。待たせた俺が悪い……」

「スバル…」

優しく、温かいその両腕に、思わず目に涙が浮かぶ。

「トーマに呼び出されたからってアリスを一人にした俺が馬鹿だった」

「っ……スバル……」

軽く頬に口づけられた私は、零れ落ちそうになった涙を指先で拭い、微笑んだ。

「……帰ろ。アリス」

『帰ったら、たっぷり俺で温めてあげる』

END

※スバル、人気投票ビリということで4人の中でお話を長くしました。