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Re: †4人の死神と囚われアリス† ( No.399 )
日時: 2013/12/25 00:00
名前: 珠紀 (ID: 0.ix3Lt3)

>>373本編続き

「ーー…」
愛しい人の名を呟く少女。





彼女の瞳には綺麗な雫が流れ落ちていた。


降り積もる雪の中…彼女は一歩も動かず地面に座っていた−…





“last Christmas”



彼の姿はもう…











見当たらない。

                  …†††…





“Christmas eve”

行き交う人は皆、笑顔。

25日はもう少し…

人々が浮き足立つ中、私は教会へ足を運んでいた。

幸運なことに中には誰もいなく静まりかえっている。

そっと腰を下ろし、祈りを捧げる。

「どうか…私から大切な人を奪わないで…」

どんなに願ってもこの“願い”は聞き入れてはくれない。

【決まっていた】ことだから。

そんなことは分かっている。

だけど私は無言で十字架へと跪く。

「アリス…」

後ろから腕を引っ張られ立たされる。

「アズサ君」

皆…

「俺らはもう消える」

ルキの言葉に声が震える。

「ゃ……だ」

そんな私の頬にアズサ君はそっと手を当てた。

「もっと…一緒にいたかったな…好きだってもっと言いたかったな…」

涙で視界が覆われる。

「この先の未来…アリスと過ごしたかったな…ぁ」

苦しそうに笑うアズサ君の顔。

薄れていく身体…

「っ!?」

「…僕が最初みたい、だね」

「あ…」

アズサ君の手の感覚が徐々になくなるのを感じた。

パンッと光が弾けるようにアズサ君を取り囲み、一瞬にして消えた。

「アズサ…君?」

呼んでも、あの優しい声は返ってこない。

「俺らもそろそろだな」

そう言ってトーマは私の頭に手をおく。

「…元気でな」

一言だったけれど暖かな手にトーマの優しさが感じる。

トーマも徐々に薄れて…空へと消えた。

「アリス…泣かないで」

スバルが私をそっと抱きしめる。

皆、みんな消えていく。

アズサ君の優しい声も、トーマの手の暖かさも…そしてこのスバルの腕の暖かみも。

「俺はアリスが好き…。この気持ちだけでも伝えられたから悔いはない。アリスは幸せにならなきゃダメだ。俺の最後の願い、聞いてくれる?」

ゆっくり頷くと、安心したように私を離した。

そして、

「幸せになれ」

…笑った。

初めて見せる…スバルの笑顔。

そのままアズサ君とトーマを追うように空へと消えていく。

そして、最後の一人。

「ルキ…」

ルキ。

拭っても拭っても、涙は止まらない。

「そんな顔をするな…元に戻るだけだ、死んだ俺のからだに」

そっと手を伸ばして、ルキの手を握る。

「………」

もう、感覚は…なかった。

「逝かない…で………っ」

ぐっと引き寄せられる。

「!?」

重なる唇。

「ごめん、な」

…泣いていた。

「ル………キ…?」

耳元にルキの唇が寄る。





−“愛してた”−





「!!!」

それと同時に光が消え…私は1人ぽつりと立っていた。

「何…それ…」

勢いよく教会の扉を開き外へ出る。

「何で…何でお別れの時に言うの…っ私…はっ」

力が抜け、地面へと膝をつけ空を見上げて大きく息を吸った。

「愛してたんじゃない……私は…っっ!!」

私はあなたを…

『愛してる』

そう叫んだ声も夜の闇に沈むだけ…

降り積もる雪の中…

私は愛しい人の名を呼んだ−−…