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Re: †4人の死神と囚われアリス† ( No.427 )
日時: 2014/01/26 16:13
名前: 珠紀 (ID: bh4a8POv)

†アリスside†

「マザーッ!遊んで!」

あれから5年経った。

「はいはい。あなた達の洗濯物を干してからです」

私は孤児院を建て、親のいない子供たちを育てている。

国からの補助金と毎日の新聞配達で生活を養っている状態だ。

「マザーッ!お客さん!」

「あら、誰でしょうか」

「んとね!おっきくて黒い人!」

「!?」

ルキ…っ

急いで玄関へ向かうと、予想は外れだった。

「……」

当たり前ですよね…ルキが地上にいるわけ…

「そんなに急いで誰と勘違いしたのかな?アリスさん。それとも、僕だからそんなに息を切らして来てくれたのかい?」

玄関にいたのは若い神父様だった。

20代前半の新米神父だ。

この頃やたらとスキンシップが激しい。

「…何か」

「素っ気ないなあ…ちょっと君をデートの誘いに」

「結構です」

笑顔で返事をすると新米神父の眉がピクリと上がる。

「…こほん。照れなくてもいいのですよ?僕は君に好意を抱いている。君はどうですか?アリスさん?」

「私は、きちんと心に決めた人がいますから」

即答で返すとまたピクリと眉を上げる。

「う、嘘をつくなっ毎回毎回そんなことを言って!だいたい君のその心に決めた人とはどこにいるんだっ!」

本当に面倒くさい人だ。

「やめてください。子供たちの前ですよ」

「き、君がその男を連れてきたらやめてやるさ!さあっ今すぐつれてこい!」

そんなこと言われても……ルキは、もう。

じわりと涙が浮かぶ。

…っ泣いてはダメだ。

私はあの日から泣かないと決めた。

「つ、連れて来れないのであれば僕と来い!」

「…っ」

強い力で肩を掴まれ痛みに顔が歪む。

気持ち悪い…

「マザーッッ!」

「マザーを離せっ!」

子供たちが新米神父の足にしがみつく。

「皆っ私は大丈夫だから!危ないから離れなさい!」

今にも子供たちを蹴り飛ばしそうな新米神父の顔を見て、子供たちに静止をかける。

そう。

大丈夫。

1人でも生きてこれるように…この5年間生きてきた。

あの時何もできなかった無力な自分。

ずっと後悔してた。

でも、

「会いたいよ………ルキ…」

ぼそりと地面に向かって囁く。

会いたい、皆に。

そっと瞳を閉じて引きずられるように歩く。

「…?」

ふと新米神父が立ち止まり私の上に人の影ができた。

「…何やってんだよ」

ため息混じりの低い声。

「!?!?!?」

この声…知ってる。

私は勢いよく顔をその声へと向けた。