コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 災能 ( No.1 )
- 日時: 2013/06/03 22:16
- 名前: らい (ID: .r7VG6cg)
人は
「人と話す時は、人の目を見て話せ。」
と、言う。
しかし、彼女は違った。
「目をこっちに向けるな。」
「視線を合わせるな。」
何度も聞いてきた言葉。これは、決していじめではない。しょうがないのだ。
彼女だって理由をわかっているから苦しくもない。
彼女は目が合う(睨んだ)ものを硬直させてしまう才能の持ち主なのだ。
〜つまらない日々〜
幼稚園の頃だっただろうか。彼女。愛澤 芽衣がある事実を知った時から、もう10年ほど経った。
春が来て今年も教室の一番隅の席につく。周りは部活や友達の友達などという共通点によって繋がっていく。芽衣1人を除いて。
今年もか。と、軽く息を漏らし迷惑をかけないよう顔をふせる。
迷惑をかけないようにというのは、目が合うことを避けるためにだ。
十分に広がった少し誤解の混じった噂のせいで、目が合うとその人物が硬直すると、思い込まれている。そして、周りが固まらなかったとざわめく。そこにまたおかしな噂がプラスされ、広まる。面倒くさい。本当に人間は自分と違うことを大きく取り上げる。確かに自分は変わっている。それは認めるが、それを周りに広めて何になる。その存在が消える訳でも、害がなくなることもない。というか、芽衣の行動は害はない。息や心臓は止まらないのだから。
毎年思うことを考えていると前の扉ががらりと音をたてて開いた。
「席に座って。」
ガヤガヤしながらもみな言うことは聞く。
「起立。おはようございます。着席。はい。みなさんクラス変えでテンション上がっていると思うけど、これから始業式から静かにね。では、廊下に出てください。」
静かにね。という言葉に1人従い扉のすぐ横に出る。出席番号順のため、人と話すことなく自分の場所がわかり、楽だ。
(...始業式とか面倒くさいな。)
うつむいた顔の上では「噂の子?」などと言う声がする。
声が聞こえても何もしないが、陰口はちゃんと陰で言えと思う。
「静かにね。あ、行って。」
行列が進み出した。