コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.4 )
- 日時: 2013/06/18 16:18
- 名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)
2. 告白
いつもの通り、三人で登校中。
あー、今の気持ちを表すとですね。
「あ〜つ〜い〜」
「愛花、暑いって言っても涼しくなるわけじゃないんだよ」
気だるけな彩月の声が暑さを余計に大きくした気がする。
っていうのは冗談でありまして、まあ、彩月の言い分はごもっともな訳ですよ。
夏休み一週間前をきった頃の今日。真夏というほどじゃないのにどうしてこんなに暑いの?!
去年の七月はもっと涼しめだったのに。
てか、自分で考えてて馬鹿だけど、こんなことどうでもいいんだよ!それより……。
「晃太郎、七海ちゃんに何か言われた?」
「え、なんで?」
なんで、と言われてしまうと答えられないんだけどなあ。
七海ちゃんに約一ヶ月前<晃太郎に告白する>と言われたから、ちょっと気になったなんて言えないし。
「えっと、委員会のことで訊きたいことがあるって言ってたから!」
「いつ?」
いつって言われても、嘘なんだから察してよって察せられちゃ困るか……。
嘘に嘘を重ねると厄介なことになるけど、もういいやっ。
「一昨日だよ。だから、訊いてみたら?」
ヤバいな、後でバレたら怒られそうで嫌だなあ。
まず、第一に私が晃太郎から七海ちゃんに話しかける状況をつくる必要無いのに!
「じゃあ、今日訊いてみる」
今更ながらですが、とても心配になってきました。
話が噛み合わなかったらアウトだ。終わる。
あ、そうなる前に七海ちゃんに伝えれば良いんだよね!おせっかい人間と認識される前提で、だけど……。
学校に着く、急いで七海ちゃんを探す。
すると意外に早く発見!
「七海ちゃん!」
「はいっ?」
突然後ろから自分の名前を呼ばれるとこうなるのかあ。
ちょっと面白かったことは秘密にしておこう。
「なんだ、愛花ちゃんかあ。何?」
七海ちゃんは胸を撫で下ろす仕草をする。
何で安心したかは良く分からないけど。
二つに結んだ髪の毛が肩に付かない辺りで揺れていて可愛らしい。
「何か驚かしちゃったみたいでごめんね。あのね、晃太郎のことなんだけど」
「こ、晃太郎くんのこと?!」
七海ちゃんが身を乗り出し気味に慌てた様子なのを見ると、女の子の可愛さが分かる気がする。
ってまあ、おっさんみたいな考えは置いといてですね。
ああ、七海ちゃんに嫌われる覚悟でこんなこと言う理由が分からなくなってきたー。
「まだ言ってないんだよね?アレ」
- Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.5 )
- 日時: 2013/06/19 17:51
- 名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)
一瞬間があって緊張する。
何で緊張なんかしてるんだ、愛花!
あれ、もうパニック状態だよ〜!?
「アレってアレだよね。まだ言ってない……。その、きっかけがなくてね」
「そうなんだあ。あの、七海ちゃんが話したいことあるって言ってたって晃太郎に言ってしまいまして……。
本当にすいませんっ!」
全力で謝る。これは自己責任だ。
「え、そうなの?ありがとうー!」
「へ?」
「きっかけを作ってくれたんだよね!愛花ちゃん、ありがとう」
拍子抜けとは、こういうことを言うのだろうか。
七海ちゃん、こちらこそありがとう。
てか、これで良いことしたんだよね?安心安心。
「じゃあね。休み時間に言ってみる!」
やっぱり乙女だあ。可愛いな、七海ちゃん。
「晃太郎くん!」
その、休み時間になっちゃいました。
何故か七海ちゃんが晃太郎を呼び止める瞬間を目撃してしまったのです。
「はい?あ、加藤か。何?って放送委員のヤツか」
「放送委員?」
そこは突っ込まないでねー。
「あ、そうなの。今いい?」
「いいけど……。ここで済ませられないの?」
晃太郎は人の密集する正面玄関を見渡す。
七海ちゃんが頷くと、二人は中庭に出て行った。
「で、話したいことって?」
付いてきちゃいました。
すると、七海ちゃんがいきなり大きめの声で晃太郎に<告白>と呼ばれる内容を話した。
「私、晃太郎くんのことが好きですっ!」
しばらくの沈黙。七海ちゃん、辛いよねえ。
「……加藤の気持ちは嬉しいし、俺も嫌いじゃないよ。でも、小学生だしさ。悪い」
その時、七海ちゃんの表情が笑顔になった。
「晃太郎くんが私にそう言う理由、もうひとつあるでしょ?バレバレだからね」
ど、どういうこと……?
私が答えを見つけられる前に休み時間は終わった。
掃除時間なう。てへ。
なーんてふざけている和宮愛花でーす!
どうしてこんなに変なのかは本人にも良く分かりません。
「愛花、さっきからいろいろと突っ込みたい独り言が聞こえるのは幻聴?」
箒を持った彩月に救いようがない、というような目を向けられる。
え、ヤバ、声に出てた?!
「だ、大丈夫だよ。幻聴だよ」
「本当にい?」
はい、止めようね。その人の発言をあからさまに信用してない目付き。
そして彩月の隣の晃太郎、君ももう少し幼なじみを信じてね。
あれ、なんかおかしい。視界の半分くらいが暗くて。あ、ヤバいかも——。
「愛花?!大丈夫?!」
「彩月には大丈夫に見えるのかよ?!おい、愛花!」
二人の慌てた声と共に私の意識は消えていった。