コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.12 )
- 日時: 2013/07/19 13:33
- 名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)
- 参照:
6.能力
音のした方を見ると、彩月と龍樹くんのいる場所にピンポイントで折れた大木が落ちようとしているんですがって危ない!
「彩月——!」
思わず叫んで、届くわけないのに手を伸ばす。
すると、辺りが真っ白になって私の量腕から青白い電気が飛び出した。
え、ウソ?!これ何っ?マンガやアニメじゃないよね。どうしよう?!
もうパニック状態だよ〜!
「あ、愛花……」
晃太郎も目を丸くして見ている。
もちろん、鈴花ちゃんや唯花ちゃん、奏お兄ちゃんも——。
「ウソ……?」
周りを見渡すと氷のように、彩月と晃太郎以外誰も動かない。
彩月が抱きしめている龍樹くんさえも。
「た、助かった、のかな?」
彩月の声に我に戻る。
私の身体から現れた正体不明の電気は、縄のような動きで大木を抑え、渡辺姉弟を守った。
「私……、今、何をしたの……?」
理由のつけられない恐怖に襲われる。
自分が何をしたのかが分からない。
悪いことはしなかったと思う。だけど、私にとって良いことでもない気がする。
いつの間にか辺りは霧雨の降る暗い午後に戻っていた。
鈴花ちゃん達も普通に動いている。
「愛花、どうしたの?顔が真っ青だよ?」
「あ、うん。具合悪かったから、かな。……先帰るね!」
言い切ると家のある方向へダッシュ。
あのままあそこにいたら晃太郎が言いそうで嫌だった。
<愛花には変な能力がある>って。
おかしい、普通の人と違うって言われたくない。
「私、この五分間でこんな子になっちゃた……」
もうヤだ。泣きそう……。目から水が溢れてきた。
馬鹿みたいって分かってる。末っ子だからすぐ泣いちゃうって分かってる。
でも、何があったの……?分からないよ、全然。怖いよ……。
「愛花ちゃん……?」
私の心がどんどん暗く沈んでいきそうになった時、聞き慣れた声がした。
「な、七海ちゃんっ!」
「あ、やっぱり愛花ちゃんだあ。どうしたの?」
ふんわりした声が響いていく。
気付けば家の近くにある、小さなトンネルみたいな橋の下にいた。
どうりで声が響く訳だ。
「帰るトコだよ。七海ちゃんこそどうしてここにいるの?」
加藤七海はこの辺りの住民じゃない。
学校から見て北区の私の家に対して七海ちゃんは東区だった。
「おつかいだよ」
「そうなんだぁ。偉いね。じゃあ、家こっちだから」
そう言って、もう間近のマンションの方を指差す。
七海ちゃんは笑って手を降ると思った。
だけど、高めのその声で訊いてきたのだ。
「和宮愛花!<能力>についてどれだけ知っている?」
- Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.13 )
- 日時: 2013/07/22 21:40
- 名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)
「え……?」
今、七海ちゃん、私のことフルネームで読んだよね。
しかも能力って……。何を知ってるのかな。
「その様子じゃ知らない、か」
「七海ちゃんは知っているの?もしもこの正体を知ってるなら教えて!お願い」
少し七海ちゃんが変わった気がしたけど、怖くない。
それよりずっと、〈この〉能力について訊きたい。
さっきから指先と指先の間に、白い電気がビリッビリッと通ってる。
「別にそれはいいけどさ、対処法とかは他の人に訊いてね。裏世界のベテランさんに、ね」
「裏世界?」
「そう。心の奥にもやもやとか、世に言うコンプレックス的なものがある人は裏世界に迷うのよ。私もその一人」
頭を巡らせても私はそんな場所に迷った記憶はない。
というか、七海ちゃんコンプレックスなんてあるんだ……。
「ま、私は裏世界住民歴三ヶ月くらいの新人だし、基本しか分かんないけどね。あ、コンプレックスは突っ込まないで。
裏世界っていうのは初めて行った人にとっては暗闇なの。でも、二回目からはちゃんとした〈街〉になるよ。
うーん、なんと言うか、直立歩行の猫っぽいのが住んでるのよね、〈街〉には」
「猫っぽいのがって……。暗闇には覚えがあるよ」
変な夢を見ただけだと思ったのにな。
「じゃあ、愛花ちゃんは超新人なのに【リング】を通って力を手に入れちゃった訳だ」
「他人事と思って……!言っとけど、私がこのままだったら晃太郎との繋ぎできないんだからねっ!」
ああ、こういう自分、嫌いだ。
人の弱味をついて自分にいいようにする愛花は好きじゃないって誰かに言われたな。
「……良いよ。もうフラれたし。っていうかねえ、私のコンプレックスは和宮愛花!あなたなんだから!」
え、マジかあ……。ってか、そんなこと知らないわよ!
私、いつ七海ちゃんにそう思われたー!
はあ、もう、私のキャラって何だっけ?!
「話ずれたけど、私が思うに【リング】には裏世界利用者の微弱な力が集まってるの。あ、ちょと受け売りもあるわよ。
それで、微弱だったのが集まりすぎて、膨大な量の能力情報がたまったの。
愛花ちゃんは【リング】をくぐった時にそれを全て身体に取り込んでしまったのよ」
「……教えてくれてありがとう。で、七海ちゃんは解決方法、超能力を消す方法知らないんだよね」
「教えたくてもそれは出来ないの。ごめんね」
ここまで教えてもらえただけでいい。
それに…………。
「七海ちゃんも、裏世界フレンドだね!」
「愛花ちゃんってセンスないね」
「ええっ?!」