コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.22 )
- 日時: 2013/08/03 23:19
- 名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)
8.忠告
キラキラと窓が光ってる。雫が太陽の光に反射しているんだ。
夜、きっと雨が降ったんだ。でも、今日はいつにも増して太陽光がキツいなあ。
まー、キラキラは幻想も混じってるかもしれないけどね。
「う〜ん」
方と腕をぐっと伸ばすと声が出る。
ゴキゴキっと音がした。や、ヤバいよ、私。おばあちゃんじゃないんだから。
ひとりでに笑いが込み上げてくる。笑いながら、私の部屋の端にあるベッドからすとっと降りた。
ちょうどその時、ガチャリとドアが開いた。
「あ、愛花。もう大丈夫?」
やけに優しげだなあ、唯花ちゃんの声。それにまた笑っちゃう。
「一人でにやにや笑ってるし。ちょいキモいよ?ん、まあ大丈夫だね」
「え?大丈夫って……?」
何も大丈夫じゃなかった記憶はない……ってあるか。
全然大丈夫じゃなかったけど、唯花ちゃんは知らないはず。
晃太郎も彩月も言う気がしないんだよなあ。
「え、もしかして気付いてないの?!」
「だーかーらー、何を?」
「愛花は一昨日、彩月ちゃん達がいる間に寝ちゃったんだよ。で、昨日一度も起きないで、今日になったの」
えええええ?!全然気付かなかったよ?!どんな熟睡ぶりだよ、和宮愛花ぁ〜。
あ、だから彩月のお母さんとかに会わなかったんだ。
「そっかー。ああ、そういえば私、一昨日学校で倒れたんだよね」
「え、ウソ?!ホント?!倒れたって、教室で?」
「うん、まあ。保健室で休んだよって今何時?学校行かなきゃ」
訊いておいて、私は枕元の目覚まし時計を見る。
八時九分。五分早くしてるから、四分ですね、はい。
「あ、え、うっそー!急がなきゃ〜!」
超スピードで着替えながら、寝間着に着替えさせてくれたのを鈴花ちゃんだと祈る。
唯花ちゃんはバックを取って来ると、急いでーと言った。
「奏達は先に行ったよ、電車だからね」
「よし、用意完了!お待たせ」
深紅のランドセルを背負って、唯花ちゃんより先に外に出る。唯花ちゃんが鍵を閉めるから。
ベージュの廊下には、珍しい人が立ってた。
「晃太郎!何で……?」
「愛花、起きるの遅い。今日は終業式だ、走るぞ」
「答えになってないけどって——えっ!?」
ぱっと手を引かれて走る。後ろで唯花ちゃんが叫んでる。
「こーたろーくんが愛花起こしに来たんだよー!」
そうなんだ……。てかさあ、階段かけ降りるよりエレベーターの方が早くないの?
まあ、いっかな————。
今は、これで————。
- Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.23 )
- 日時: 2013/08/08 08:21
- 名前: 明衣 (ID: J7xzQP5I)
「えー、明日から夏休みです。皆さん有意義に過ごすように、心がけてください」
体育館に冷房をかけたらとても無駄になるのは分かるよ。
時間も、電気も、お金もね。それくらいは私にも理解できるんだよ。
でもさ、扇風機くらい回してくれてもよくない?!
あまりに体育館がむわぁっと暑いため、私はため息をもらす。
「愛花、もう少しだから。我慢我慢!」
彩月のお姉さんらしい、囁き声に元気づけられました。
私ったらなんて単純なんだろう。
晃太郎が生真面目に背筋をのばして立つ方向を見ると、涼しい顔をしている。
あんなに退屈な校長の話をよくそんな顔で聞けるねえ。
まったくさ、感心するよ、晃太郎には。
しばらくすると、彩月が言った通りに長い長い終業式は終了した。
教室に戻る間のざわめきは、多分小学生のうちはずっと続くと思うね。
「はーい、静かに」
二列に並んで教室に戻る六年三組の生徒たちに、佐紀先生が言った。
一瞬静かになるんだけど、まただんだん騒がしくなってくるのもお決まりだよ。
「あーいーかちゃん」
七海ちゃんに間延びした感じに声をかけられた。
何かさ、七海ちゃんってキャラ変わったよ。
前は大分女の子っぽいと思ってたけど、今はなんか、全然違う。
「話があるんだけど」
「えー?」
「えー、じゃないよー?」
七海ちゃん、ちょと目が怖いよ?
私はそんなに変なことを言ってないよ?!
「はあ。彩月ちゃんたちって幼なじみがド末っ子で大変だね」
「何?」
「何でもない。とにかく、中休みに話そう。昇降口で待ち合わせ。いい?」
先にもう教室に戻ってる彩月が、不思議そうな目で私たちの方を見てる。
そりゃそうだよねえ。ついこの前まで大して仲良くなかった私と七海ちゃんが会話してたら。
「あ、うん、いいよ。それって、裏世界に関すること、だよね?」
「半分は、ね。まあ、中休みまで待ってて」
そう言って教室に入った七海ちゃんでした。
中休みなう。
七海ちゃんは自分で誘っておいて、休み時間になると直ぐにどこかに行っちゃった。
まあ、とにかく昇降口で待ってよう。
と、思ったんだけど……。
「あ、愛花ちゃん!遅い!」
「七海ちゃん……、明らかにどっか行ったのに、何で私より早いの?!」
「うーん、裏世界経由で。知り合い連れて来た!」
あっさり言われても、まだ私は裏世界に慣れてないよ。
困りますよ、本当。常識じゃないんだよ。
でもでも、さっきからおでこの端で電気の流れを感じるんだよ。
「私の要件は、単刀直入に言うと、彩月ちゃんたちを巻き込まない方が良いってこと」