コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.24 )
- 日時: 2013/08/27 10:03
- 名前: 明衣 (ID: cm34dabg)
9.困惑
…………どういうことよ?
七海ちゃんは、何を言ってるの……?!
「七海、直入過ぎるよ」
私の頭がショート寸前に、七海ちゃんの連れが口を開いた。
だよね!だよね!!すっ飛ばし過ぎだよね!お連れさん!!
「は〜あ〜……うん?あ、ごめんね。最近寝不足でね」
「全く。あ、僕は大地。テキトーに読んでね」
大地さんは私より20センチくらい背が高い、男の人。
大人ではないと思うけど結構大きい。
「あ、和宮愛花です。よろしくお願いします」
「知ってるよ。じゃ、愛花ちゃん、七海じゃないけど話は素早く進めるよ」
えーという、ちんぷんかんぷんな気持ちを抑えます。
お願いします。ま、直ぐしゃべりだすんだろうねー。
「で、今七海が言ったことは僕の意見なんだ」
ほら来ました〜。
「彩月たちって彩月と晃太郎のことですよね?二人を巻き込まない方が良いと言うのはどういうことですか?」
「愛花ちゃんはまだ、自分の陥ってる状態に気付いてないんだよ」
「私がこの変な能力を持っていて、そこそこ強くなってしまったことは百も承知です」
今さら人に言われるようなことじゃないよ。
その意思表示に指を開いてちょっと力を入れる。
すると、意図した通り指の間に青白い電気が走った。
「……それは、愛花ちゃんがこの状況を受け止めるということだね」
「はい。しかも、それを彩月も晃太郎も認めてくれました。現状維持でいいんですよ」
それに、ポジティブに考えていないと私が私でなくなる。
そんなこと一番分かってることくらい、大地さんも知っているはずだよね。
「そのうち、分かるっていうのは無理矢理だよな……」
「お兄ちゃん!そんなの危ないよ!?愛花ちゃんと晃太郎くんたちまでも……」
「えっと、話に着いていけないんですけどってお兄ちゃんなの?!二人って兄妹だったの?!」
「あれ、僕は加藤大地だよ。それより、やっぱりはっきりと言うよ」
息をおいて、七海ちゃんのお兄さんは囁くように言った。
「愛花ちゃんの力を狙う裏世界の住民がいるんだ」
「お兄ちゃんも、裏世界の住民なんだよ」
それは……薄々感じていたんだよ。
自意識過剰過ぎて楽観的になろうって思ってたのになぁ。
「でも、私は欲しがられても、渡せませんよ」
「器がなくなれば能力は裏世界に戻るだろう?能力者が死んでしまえば、裏世界に宙ぶらりんの超能力が手に入る」
「……っ……!物理的に危ないんです、か。裏世界住民だけの問題じゃなくなる。そう言いたいのね」
狂ってる……!死にかける可能性まであるってことでしょ?!
- Re: 幼き頃の約束は永遠に ( No.25 )
- 日時: 2013/08/30 17:36
- 名前: 明衣 (ID: cm34dabg)
「そうだ。別に縁を切れという訳ではない。ただ、敵に能力の話をする相手と二人の存在を認識させてはダメだよ」
「別に、晃太郎たちは能力も裏世界住民でもないのに?」
「人質にされても愛花ちゃんは平気かい?」
逆に質問を返された。大地さんは私の答えを知っていてるのに訊く。
ずるいよ。私の沈黙が正確な答えと見て、七海ちゃんが呟く。
「そういうことなのよ。晃太郎くんや彩月ちゃんには私たちと違って対抗する手段が無いの」
「……じゃあ、二人の前でその話を言い出さなきゃ良いの」
訊ねた訳じゃないよ。自分に言い聞かせただけ。
七海ちゃんや大地さんはこれからも『頼っていい』って言ってくれることなんて分かってる。
でも、あんなに寂しくなって、助けてくれて、親友って言ってくれた二人を頼れないのは嫌だよ。
周りの人に頼ることばかりして生きてきちゃった私に……無理矢理過ぎるよ。
「もうすぐ授業が始まる。僕は帰るよ」
大地さんは私が困惑の絶壁に立たされているのを知ってて、最後に残した。
「愛花ちゃん。自分で考えて行動する力を付けて。これからその能力を狙うヤツらが諦めるまで付き合うための、気力も」
「……はい……」
七海ちゃんはトイレに寄っていくと言うから、先に教室に戻る。
すると、途中で心配顔の幼なじみかつ親友の二人に話しかけられた。
「愛花、七海ちゃんになんて言われたの?」
「というかまずあの男誰?」
「…………別に、二人には関係ない、よ」
ああ、なんかこうもっと、いい言い方出来ないのかなぁ、私って。
「それよりっ!私的にはピンチの時刻が近づいているのっ!!」
「え…………あ、え、ええっ?」
「彩月の反応面白い〜」
「え、だってピンチってどういうこと?!」
慌てたように言う彩月に、晃太郎が指を立てて「あれだろ」と言った。
晃太郎が指差した物とは……そう、先生が持つあの白い紙が積み重なった物体。
「あーあれねぇ」
少し前とはうって変わって彩月さんの顔がニヤニヤとして見えるのは気のせいですかっ?!
「つーちひょうぅぅ」
自分でも哀れなくらいか細い声で私は、半分泣き顔になって言った。
いや、だってそうでしょ!通知表とかさ、お母さんたちに見せるの勇気いるじゃん!
まぁ、毎年勇気出して渡すのは我が家で私と唯花ちゃんだけどね。
鈴花ちゃんとお兄ちゃんについては皆様のご想像にお任せしよう。
「とにかく早く教室行こう。もう本鈴鳴るよ」
「え、ウソ?!いつ予鈴鳴ってた?!」
晃太郎が急かして、私は自分が予鈴に気付いてなかったことに気づいた。