コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 【番外編2*更新】ウェルリア王国物語〜眠れる華と紅い宝石〜 ( No.81 )
- 日時: 2013/07/05 19:14
- 名前: 明鈴 ◆kFPwraB4aw (ID: 607ksQop)
■番外編3■ 最終回(序)・ウィルア兄妹の日常-The volume on extra-
アスカの部屋を後にした二人は、ユメノの自室に来ていた。
こちらの部屋も20帖で、部屋の中はユメノのお姫様趣味満載である。
天井のシャンデリアがきらびやかに光っている。
しかし、その部屋の隅の方で膝を抱えてじっと俯いているのは、ユメノのお世話係のウィンク=モンテカルロであった。
「ユメノ様、ワタクシ、…………暫く引きこもりマス」
「何を言っておるのだ! ウィンクがこうなってしまうのは、もはやお約束みたいなものだ。気にすることはない」
「お嬢様、それ、慰めになっていませんから…………グスン」
「まあそう落ち込むな、ウィンク。確かにあのパズルは兄上が半年かけてやっと完成間近に近づいていたパズルだった。それを破壊されたら、ユメノだったらそこの窓から軽くダイブしてる」
「お嬢様、それ、ワタクシを追い詰めようとしてるんでしょうか。してるんですよね。……ワカリマシタ。その言葉通り、ワタクシ、そこの窓から身を投じて償います」
勢いよく立ち上がろうとしたウィンクを慌てて抑止するユメノ。
「まあまあまあ、待て待て待て。早まるなウィンク」
こうなると、どちらがお世話係なのか、もはや見当がつかない。
「ようは、兄上の機嫌を元に戻したら良いのだろう」
「けれどですね……グスン。暫く顔も見たくないと、一刀両断されました」
「そこまでは言ってなかった気もするが……まあそうなるな。そこでだ」
ビッと指を立てて、ユメノが提案する。
「ユメノが兄上のご機嫌を取りに行く」
「そんな……! 悪いですよ。私のせいなのに」
「気にするな! ウィンクの主人はユメノだぞ? 主人が部下のケリを付けなくてどうする!」
ウィンクはその言葉に目を輝かせながら、そういえばこの間、女主人が部下の男をそうやって救い出していた劇的なワンシーンをユメノと二人で観たなあ、と回想する。
「任せろ。例え私が命を落とすことになっても、誰もお前を責めたりはしないのだ」
何処かで聞いたことのある台詞に苦笑して、ウィンクは涙目でこくりと頷いたのだった。
「ありがとうございます、お嬢様」
******
「とはいったものの……」
ユメノは暫くの間、うーんと唸りながら、自室で特注の椅子にもたれかかって、策を練っていた。
あれから約1時間が経とうとしていた。
アスカの機嫌を直すには、どうすればよいのか。
「ウィンクー、何か良い案はあるか?」
「アスカ兄様のご機嫌を直す案、ですか」
「うむ」
掃除をしていたウィンクはその手を止めると、ユメノと同じように腕を組んだ。
「そうですねー……アスカ兄様のご機嫌を……あ!」
「おお、なにか思いついたか、ウィンク」
「お嬢様お手製のお菓子をプレゼントするのはいかがでしょうか」
ユメノがぽんと手を打つ。
「手作りお菓子か!」
「そうです。女子力満載の、手作りお菓子です」
「なるほどな。それだったら女性からプレゼントもロクに貰ったことのない兄上も、おおお!と喜ぶに違いない」
「はい! そうなります」
「そうとなれば、早速お菓子作りに取り掛かろうぞ! ウィンク、準備してくれ」
「はい! ただいま」
慌ててユメノの自室を飛び出すウィンク。
その時にお約束よろしく、何もないところで躓いて扉の角に頭をぶつけたウィンクであったが、それでもめげることなく、城の厨房に駆け込んだのだった。
******
ウィンクの必死の想いとユメノの愛情がこもったチョコレートを手にして、ユメノはアスカの自室に、ノックもせず駆け込んでいた。
「見ろ! 兄上。ユメノのお手製チョコレートだ!」
アスカは無言で、バラバラにされたパズルを一からやり直していた。
イライラしながら。
半年かけてやっと完成に辿り着こうとしていたのに。
やっと出来上がったと思ったのに。
思ったのに……。
また一からパズルを組み立てないといけないのである。
当然、言いようのない消失感と焦燥感に駆られている。
そこへ実妹が甲高い声を上げながら登場してきたら、誰でもこう叫びたくなる。
「うるっさい! 勝手に部屋に入ってくるな!」
——お菓子作戦、完敗。
「ウィンクうぅ〜……」
ユメノは自室に戻ると、泣き顔でウィンクの胸元に飛び込んでいた。
「兄上に、きっ、嫌われたのだあぁ〜……」
よしよしと頭を撫でて、ユメノの耳元で決心したようにウィンクが言う。
「元々はワタクシの不注意が招いた今回の出来事です。決めました。ワタクシがケリをつけて参ります」
それから、ウィンクは、内心ビクビクしながらアスカの自室前に立っていた。
心臓を軽くトントンと2回叩いて、大丈夫だと自分に言い聞かせる。
——ウィンク、いきます!
————————————————————————-−−−−━━━━★
⇒次回、ウィンクが奇跡を起こすのか……?!
★━━━━−−−−————————————————————————————————
などとふざけたこと抜かしていないで……(‾▽‾;)
次回で番外編、今度こそ終わります。ええ。
アスカ・ユメノ兄妹×メイド・ウィンクさん、如何でしょうか。
またご感想いただけたら嬉しいです。
また他のキャラでもこんな感じでスピンオフ、書けたら面白そうだなあー。
「ウィンク、いきます!」の元ネタは、もちろんアレです(笑)
わかる人はわかる、かな(‾▽‾;)
今期また新作が出るとかでないとかー……(笑)
わ、なんかぐだぐだしてたら長くなってしまった(‾▽‾;)
一日一話投稿を心がけておりますっ。
それもこれもご感想いただけているおかげでございます。
ありがとうございます。
感謝の旨をお伝えできたので、これにてっ。
あとがきもどきでしたっ。
2013.07.05*明鈴