コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 恋芽生え、愛咲く〜喜恋・悲恋〜【短編集】*アンケート実施* ( No.116 )
- 日時: 2013/08/09 21:18
- 名前: 珠紀 (ID: DyzeSRgi)
『あんたなんてキライ』【オリジナル】
御子柴花恵 Hanae Mikoshiba
石塚大輔 Daisuke Ishizuka
*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
《ーー下校時間です。生徒はすみやかに…》
下校時間を知らせる放送がなる。
廊下を歩いていると、教室の中に男子生徒と女の新任の先生。
…キスをしていた。
石塚大輔
担任にまで手を出すなんて
根っからの最低男だ
「大ちゃん、そのホッペどうしたのー?」
「コレ?チューしたら怒られちゃった」
「えーだれにー?てか私が慰めたげる」
隣の席のチャラい男、黄色い声の女。
そして、その隣に読書をしている私。
「席ついてー」
がらりと開いた扉から先生が入る。
「御子柴さーん」
本を閉じたと同時に話しかけられる。
「きのー見たっしょ。びっくりしたっしょー、あ!つかはじめて今話したねー隣の席なのにさー」
「どーでもいいです、私には関係ないんで」
私の言葉を聞いて、固まる石塚大輔。
「え!?まさか俺のことキライ!?」
「大嫌いです。」
「ちょっえぇ!?」
こーゆうチャラい人って、誰かを本気で好きになったりしないんだろう
…って私もまだないけど
「花恵〜帰ろー」
「ゴメン、しばらく図書当番」
ー図書室
扉をあけた瞬間閉めようかと思った。
「何で大ちゃん、こんなとこにいんのー?ヒマならあそぼー」
「また今度ね、メールして」
何で、こいつがいるんだ。
石塚大輔。
「あ、御子柴さ…ってえっシカト!?」
無視して、本の整理に励む。
「ゴメンねー御子柴さんみたいな子はじめてだからさー、お近づきになりたくて。図書委員かー真面目ちゃんだねー俺とは真逆〜、なんか手伝おーか?」
「…見張らなくてもキスの事は言いふらさないんで、帰ってください」
振り返ると真剣な眼差しの彼。
「…っ」
なんなの…コイツ。
視線の先はあの女先生。
…え?
…そういえば新任だった先生を石塚くんはいつも手助けしていた
ーーもしかして
先生のこと、まさか
好き…?
…まさかね。
否。
ありえない
ーー…でもこんな表情…
はじめて見た
「ん?俺の顔、そんなに見つめてどーかした?」
「と、とにかく帰ってくださいっ!寄ってくる女子いっぱいいるでしょ?何でわざわざ私に近づく!」
私の言葉を聞いて彼はニッコリ笑う。
「カッコイーなと思ってさ、自分もってるっつの?俺みたいにチャラくないし」
「…………先生のこと本気で好きでしょ?」
とっさに出た言葉がこれだった。
言ってから口を抑える。
「ーーアソビだよ」
悲しそうに微笑む彼の顔
「あそ」
「ちょっ御子柴さ…」
「帰る」
「何怒っ…」
「サヨナラ」
私は図書室をとびだす。
トクトクと心臓が五月蝿い
…………え?
何、コレ…………
胸が苦しい…
…***…
イヤイヤイヤ
冷静になれ私
私は石塚くんなんて嫌い
イエス!
「先生〜さよーならー」
「はい、さよならー」
先生の声に隣に座っている石塚くんが反応する。
…見つめていた。
こんな風にずっと見てきたのだろうか
わざわざ嫌われるような、あんなキスをして
叶わないのを知っても
こんな思いをこれからもずっとーー?
「…っちょっと来て!」
無理やり、石塚くんの腕をつかみ図書室へ行く。
「えっどーし…」
「マジだったんでしょう!?見てたじゃない、いつも!いつだって…」
何故だか涙が出る。
「御子柴っ…」
「チャラくて逃げてるほーがよっぽどカッコ悪いっツラくて苦しいまま終わっちゃうんだよ」
ーーなんで
涙が出たのか分からなかった
ただもう、これ以上
悲しい顔見てたくなかったから…
ー次の日
「御子柴…」
…泣いたのだろうか。
石塚くんの目が真っ赤に腫れていた。
「…ありがとな。ちゃんとフられてきた…すっきりした」
重荷が取れたような石塚くんの笑顔
…よかった…
本当に
「…よかった」
「えぇっ…うっわかっわいーっすげーキチョーなの見たっ笑顔っっ笑顔!」
「ハ?ったくあいかわらずチャラいし」
「キュンキュンしたんだって」
「ウソくさ」
「マジで!」
そう言って私の顔に近づく。
「俺、マジで御子柴さんと恋したいからセンセーとこ行ってケジメつけれたんだぜ?」
「…っ」
「まーな、俺みたいなチャラ男のゆーコトなんて信じないだろーけど…」
なんでっ
コイツは…
ーぐっー
思いっきりネクタイを引っ張って唇を押し当てた。
「………え!?」
「なによ」
石塚くんが真っ赤になるのにつられて、私も真っ赤になってしまった。
見つめ合う。
…距離が縮まる。
「…御子柴さん、まさか俺のこと好き?」
「ーーーーー…キライ」
キスをした。
*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー