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- Re: 恋芽生え、愛咲く〜喜恋・悲恋〜【短編集】*アンケート実施* ( No.125 )
- 日時: 2013/08/16 23:54
- 名前: 珠紀 (ID: OjDUGINw)
- 参照: http://talk-me.jp/index.php?page=item&id=7651
『プチムラ☆』【オリジナル】
九条愛理 Airi Kujou
武部煌 Kira Takebe
*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「キミ、1年の九条愛理ちゃん?」
「うっわ背ぇちっさっマジかわい」
「誰待ってんの?ガッコ始まるよー」
朝、校門前である人を待つのが日課。
だけどこういう風にいつも絡まれるのだ。
「か、彼氏待ってます…!」
怯えながらも声を張り上げる。
「とか言って彼氏いんの?」
「…俺が彼氏っすけど」
ぬっと絡んできた男の子の後ろに現れる男の子。
これが私の彼氏。
身長約2メートル、武部煌くん。
「いってぇ!」
煌くんに腕を掴まれた男は悲痛の叫びをあげて逃げていった。
それを見ていた他の男もその後を追う。
私の彼氏君は怪力なのだ。
「…ちょっと力入れただけなんだけどな」
「ありがとう、煌くん」
キュッと手を握る。
「え!?愛理ちゃん!?」
「ほら、煌くんもぎゅって」
「あ…うん」
ーぎゅぅううううっー
「あだた」
「えっ!?あっご、ごめ」
「だ…大丈夫…」
…***…
「愛理ちゃん、飲み物牛乳でいいよね?」
お昼休み、一緒に自販機に行くのも日課。
思いっきり顔を上に上げて頷く。
「はい」
煌くんが差し出した牛乳から吹き出す液体。
「冷た」
牛乳が顔にダイビング。
「ご、ごめん!力入れすぎた!今、ハンカチ出す…から」
何故か前かがみになる煌くん。
…あ、
いいこと思いついた。
「煌くん、舐めて」
我ながらエロいことを頼んでみる。
煌くんは奥手だから私がリードしなきゃ。
「え…い、いやいやいやいや」
手をブンブン振って動揺する煌くん。
「ほら、早くしないと誰か来ちゃうよ」
ズイッと距離を縮める。
「ーっ」
観念したのか煌くんの手が頬に触れ鼻先に煌くんの舌が這う。
次に瞼…
それから首…
わっ
スッゴくいいムード…
だけど、すぐに離れてしまう。
「…まだっ鎖骨…も」
「さ…こっ」
真っ赤になる煌くん。
「ご、ごめん!俺、ちょっとトイレ!!」
「え」
猛ダッシュでこの場からいなくなってしまった。
…………。
…ちょっと強引すぎたかなぁ、
ー次の日
…私九条愛理。
今朝から煌くんに避けられている模様。
「…昨日の…やりすぎたかなぁ」
…引いちゃったかな…
嫌われちゃったかな…
「あ、煌くん!」
煌くんの姿を見つけて駆け寄る。
「あ、愛理ちゃん…」
「……煌くん」
…勇気を出して言おう。
「私のこと避けてるよね」
…ビクッと反応する煌くん。
そっと口をひらく。
「さけて…ないよ」
「さけてるっ分かるもん!!」
「本当に違うからーーーーーね?」
ポンポンと頭を撫でられる。
「…分かった」
それなら。
「じゃあキスして」
証明して。
「手繋ぐのも、好きって言ったのも全部私だもん」
リードばっかじゃ不安だよ…
「して…」
「…っっ」
そっと後頭部に手を添えられ唇が重なる。
キュッと彼の身体を抱きしめた。
すると身体が反転する。
押し倒されてる状態だ。
…煌くん?
手を掴む力も強くなる。
「いっ」
ズキリと痛みがはしる。
「あ…俺…。っっ!!…あざ」
腕を見るとクッキリ煌くんの手の形。
「あ、ほんとだ」
「ごめん」
「気にしないでい」
「ごめん」
煌くんを見る。
「…俺やっぱ無理だ。愛理ちゃんと付き合えない」
え…
「え…な…んで、どうしてそうなるの?」
「俺たちは付き合うべきじゃなかったんだ…」
そんなの、
煌くん勝手だよ…
「そんなの勝手だよ!」
思いっきり煌くんの腕を引っぱる。
「私はなんの隙間がないくらいっ煌くんのことが好き!他の男の子なんか目に入らないくらい煌くんが好き!………煌くん…は私のこと…好きじゃなかった…の…?」
ポツポツと瞳から雫が流れた。
煌くんは下を向いてから私を見据えた。
「…ほんと、小さ…可愛いな。可愛くて大切にしたいのに想えば想うほどうまくいかない」
違うよ。
どうしたら伝わる?
「ちゃんと大切に想ってくれてるよ」
ぎゅうっと煌くんを抱きしめる。
「この腕の痣だって消えて欲しくない証」
「………なんでそう、思いっきり抱き締めたくなること言うかな」
「どーぞ」
「いや、それは勘弁。壊れるから」
…じゃあどうすれば…
「…じゃあ…変わりに」
『イタダキマス』
そう言われて唇が重なる。
「ごめん」
そんな言葉がぼそりと聞こえた。
本能の赴くままに
目を閉じたらもうどちらが獣が分からないーー…
*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー