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- Re: 恋芽生え、愛咲く〜喜恋・悲恋〜【短編集】*アンケート実施* ( No.126 )
- 日時: 2013/09/25 16:32
- 名前: 珠紀 (ID: kG5vJqWm)
『高校生拾いました』【オリジナル】
真部蜜 Mitu Manabe
平間要 Kaname Hirama
*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
真部蜜
16歳間近の15歳ーーーーー
「…お腹すいた、足痛いーーー…」
意識がどんどん遠のいていく。
パタリとそこに力つきてしまった。
今
1人さまよっている。
『ちょっと待ってよ。今度はうちで世話するの?』
『仕方ないだろ、親戚から回ってきちゃ…』
『冗談じゃないわよ。あんな女の産んだ子なんて』
『野良猫のがよっぽど綺麗じゃないの…あんな子』
『どっか行ったらいいのに…』
夢…
これはすべて夢…
夢なんだ。
「ん…」
目をうっすらとあけると黒い物体が上に乗っかっていた。
「!?」
勢いよく飛び起きる。
黒い犬と白いうさぎ。
ど…っ
どこここ…
何だっけ…
確かお腹がへって死にそーで…
「おはよう、ずいぶん眠ってたな。もう夕方だぞ」
すると、ドアから1人の男が入ってきた。
「腹減って行き倒れるなんて野良猫みたいな奴」
「…誰」
どっかで…
見たことある…
「平間要って言っても君には分からなそうだな」
「…?」
「警察に届けても良かったんだけど、そんなことしてもたぶん同じことの繰り返しだろうしとりあえず君危ないから…」
何かを伝って手が引っ張られる。
ジャラッと音がした。
「元気になるまでいい子にな、わかった?」
「!?」
鎖付きの拘束具が腕にはまっている。
この人
危ない
思いっきり振りほどく
「おっと」
「ふざけないで変態男!!私に触るな!」
そう言い捨てて扉を開け走る。
出たはいいものの
「広」
こんなはずじゃなかった
あちこち親戚たらい回されて
邪魔だ邪魔だと言われ続けて
だったら消えてやると家を飛び出し3日目
よりによって、あんなのに捕まるなんて…!!
走っても走っても出口に辿り着かない。
「おい、こら。走るんじゃねー」
ガッと腰回りを掴まれ持ち上げられる。
「〜〜〜〜〜〜さっ触るな!!」
「ぇ、やだ」
真顔で言われる。
ヤバい
変態……。
…***…
結局連れ戻され、広い部屋に座らせられる。
「まず自己紹介。俺の名前は平間要、ピアニストやってる」
ピアニスト…
だから見たことあったんだ。
「…………1人で住んでるの?」
「ここに?いや。犬とうさぎと……あと蜜で4人?」
「私はペットじゃ…っ!」
『蜜』て…
「…何で…名前…」
「連絡先調べようとして鞄の中見せてもらった」
「…家に連絡したの?」
「一応なでも、知らないと…」
『知らない』ーーーーー
「ーーーーー…だろうね」
顔も忘れた母親は
5つの私を置いて消えた
それからは親戚中をたらい回しで
どこ行ったって厄介者で
私はーーーーー
いつも1人だったーーだから
だから分かってた
誰も私を
必要としてくれないことーーーーー
「…蜜」
「何」
キッと睨み返す。
「その顔可愛いな」
……っコイツ
本気で危ねぇ!!
『今週のゲストはピアニストの平間要さんです』
不意にテレビの声が耳に入る。
「あ、俺だ」
『類い希なる才能だけではなくその爽やかなルックスで女性ファンを魅了し続けています』
どー考えても変質者
なのに世間じゃ
天才だの爽やかだの
そーいえば、
「…ねえ、親は…?」
その質問に一瞬固まる。
「あー…いるよ。けど一緒には暮らさなかった。2人とも俺にピアノ弾かせることしか考えられない人で、5歳の時にイタリアへ渡らせられたんだ。15で日本に戻ってきてもここで培った物は何もなくて気づいたらどこに帰ればいいのか分からなかった」
ーーーーーそれで…
私のことも
ほっとけなかったのかな…
「…今は…今は1人じゃないじゃん…要」
私も…
そっと繋がれた手はひさしぶりに人の体温を感じた気がした。
「あ、そーいや俺これから仕事」
「え」
「…んー仕事行くけどまた逃げんなよ」
「………」
仕事…
『蜜、お母さん仕事行ってくるね』
そう言った母と要が重なった。
「……帰ってくるよね」
「……」
一瞬要は驚いた顔を見せるがすぐに笑った。
「今夜は一緒のベッドで寝るか」
「なんでそーなんだよ」
間なく突っ込みを入れればまた笑い返してくれる。
「じゃーな」
……遅い
もう23時をすぎていた。
「ーーーーー…」
帰って
来るよね…?
『蜜、お母さん仕事行ってくるね』
どうしよう
もし、もし
置いてかれたら
どっか行ったら
要まで帰ってーーー来なかったらーー
勢いよく立ち上がり扉を開ける。
「…びっくりした…どうした?」
目の前には要の姿。
「…っ」
「ごめんな、遅くなって」
「…バカっ!!!」
ぎゅっと要にしがみつく。
「また…1人にされたんじゃないかって…捨てられたんじゃないかって…思っ…た………」
こんな風に誰かと話すのも
誰かに触るのも
「…1人にしないで…っ」
涙がこぼれる。
「…うん、どこにも行かないから」
そんな私にヒくわけでもなく優しく抱きしめ返してくれる存在。
こんな風に
泣いたりするのも私は全部初めてで
ずっとずっと続けばいいのに
1人じゃなくてこの人と一緒の時間が
「ずっとそばにいる」
*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー