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- Re: 恋芽生え、愛咲く〜『喜恋・悲恋』恋愛〜【短編集】 ( No.19 )
- 日時: 2013/06/26 22:51
- 名前: 珠紀 (ID: 6AakIVRD)
『近くに居すぎて』【実話】
三島真 Mako Mishima
渡辺大地 Daichi Watanabe
*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ!!!」
2月14日、バレンタインデー。
朝の学校の廊下に私の声が響きわたる。
「女の子達からのチョコ!!手紙!!贈り物!!コレクションにしたりなんかしてキモイっ!」
大地のロッカーには沢山の女の子達からの贈り物があった。
『俺の』なんて書いてある張り紙と一緒に。
「モテないからってひがむな」
「はぁ?…ふんっ!こんなもの!」
ロッカーに入っていた女の子達からの贈り物を廊下に散らばす。
「うわっ!お前、人としてどーよ!」
「うるさい!ボケッ!」
私達の日常はいつもこんな感じ。
「本当に真と大地…仲悪いよね」
クラスメートの声が聞こえた。
『仲が悪い』
だけど…
『好き』なんだーー…。
…***…
なぜ、上手くいかない…。
「仲良くしたいのにぃぃぃぃ」
放課後、帰り際にある喫茶店で唸り声をあげる私。
「お待たせいたしました、カプチーノでございます」
店員が来たのと同時に顔をあげる。
「ぇ…」
「他に何かご用件はないでしょう………っっ!?」
その店員も私の顔を見る。
「「うぇぇぇぇぇぇぇ!?」」
2人の叫び声が店に響きわたった。
そこにいたのは大地だった。
「ちょっ!あんた、何やってんの!?うちの学校はバイト禁止でしょ!?」
「おまっ!馬鹿!声でけぇよっ」
口を手で押さえつけられる。
「むがっ!」
「…お前…誰にも言うなよ?」
顔が至近距離で顔が熱くなる。
近い近い近い近い近い近い近いっっ!
「…い、一丁円で手をうつよ」
「おめぇ!汚ねぇよっ!」
つい、いつもの癖でこんなことを言ってしまった。
「何よう!誰にも言わないし!そんなに心配なら私のこと見張ってれば!?」
「へぇ…」
大地はニヤリと笑う。
「後悔すんなよ?」
…やっちまった…。
…***…
「なぁ、昼飯一緒に食うぞ」
今日から大地による見張り生活が始まった。
「…きもっ」
いや、嘘です。
すごく嬉しいんです!!
「え!?何!?お前ら!」
「なんで昼飯一緒に食べてんの!?」
案の定、クラスメートが騒ぎ出す。
「いや、これはただの見張っっ…ふが!」
喋ってる途中で顔を軽く叩かれ変な声が出る。
「俺ら!!付き合うことにしたから!」
えっ!?
「な?」
笑顔で同意を求められ身体が硬直する。
う…
うきゃぁぁぉぉぁぁぉぁぁぁぉ!
ハラショーーーーーー!!!
「ってことにすっから。学校では」
放課後誰もいない教室で私の幸せ崩壊。
…さっきの天にも登る気持ちは一体…
「…真」
いきなり名前で呼ばれ抱き寄せられる。
「!?」
「いる」
大地の目線の方に顔をやると…
いる…。
クラスの奴らがたんまり。
帰ったふりして、私たちが本当につき合っているのか確かめているんだ。
なんて…疑い深いデバガメ達…。
だけど…
ヤバい。
『幸せです!!!!!!』
心の中で思いっきり叫んだ。
《2年C組、渡辺大地。今すぐ校長室へ》
その瞬間、大地に呼出の放送がかかる。
「ちょい行ってくる。待ってて」
「う、うん」
パッと離され寂しさにぽっかりあいたような感覚になる。
『もっと抱き締められていたかった』なんて…
私は暖かい気持ちのまま、大地の帰りを待った。
ー10分後
10分経ち、教室の扉が開く。
「大地っ。なんだったの?呼び出されたりして、なんかやらかしたの?」
「…………」
教室に入ってきた大地に話しかける。
…だけど…なんの返答もなく大地は俯いたまま。
「大地…?」
「もういいよ…終わり。もう、彼女のふりとかしなくていいから」
「っ!?何…っっ」
「バレたんだよ!!!!」
2人しかいない教室がキーンと響く。
「バイトのこと…バレたから、もう終わり」
「そん…な」
大地はそう言うと背中を向けて教室から出ようとする。
…何それ。
『終わり』って…
そんなアッサリ終わるの!?
そんなの…
嫌だ!!!!!
「なっ!」
私は大地の背中にすがりつくように抱き締める。
「離せよ!」
「やだ!…っもっとそばに…いたい…」
「ぇ…」
「…………………………………好き」
涙が頬を伝った。
「なっ嘘だろ?いやがってたじゃねーか!」
「ううん、全然」
「は!?ふざけんな!お前の言動で俺がどんだけ傷ついたと…っ!」
ぇ…
「…っだから付き合うフリとかかなり無理くさいことまで……っ頑張って…」
大地が言葉を途切れ途切れで言いながら私のことを見つめる。
「……俺の方が好きだからな」
そうポソリと呟いた。
「…!?…………かぁっこつけちゃって」
私は微笑んで大地を見つめた。
大地も私を見下ろす。
『キスまで後10センチ』
私たちはお互いに目を閉じたーー…。
*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー