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Re: 恋芽生え、愛咲く〜『喜恋・悲恋』恋愛〜【短編集】 ( No.23 )
日時: 2013/06/29 20:17
名前: 珠紀 (ID: SU4m4287)

『恋の仕方の説明書』【実話】

相葉くるみ Kurumi Aiba

町場祐 Yuu Machiba

*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

人を好きになるってどういうことーーーー…?

「昨日彼氏に指輪貰っちゃったっ!」
「えー超ラブイじゃん!いーなー…ね?くるみっ」

放課後、友人2人が甲高い声を出して騒いでいる。

…同意を求められても…
ハッキリいって羨ましいとも思わないし、妬ましいとも思わない。
一言で言うと…

『どーでもいい』

「ごめん、電車の時間だから行くね」
「なの?分かった、ばいばい」

2人と別れた私は電車に乗る。

彼氏…か
何でそんなに簡単につき合えるんだろ…

《三番線、ドアが閉まります。駆け込み乗車はおやめください》

アナウンスがなり、後ろにあるドアが閉まる音がする。

ードンッー

「!」

と、同時に何かに後ろから体当たりされた。

「うわっ」

目の前にあった窓にぶつかる。

「痛…」

ジンジンした額を押さえながら後ろを振り向くとデカい男。
…同い年くらいの男がいた。

「ごめん!大丈夫!?ってわぁ!赤くなってるし!!マジごめん!」
「大丈夫です…」
「痛いよね!?すげぇ音したし!!」

…だから大丈夫なのに…
しつこい。

男は焦ったように手をあたふたしている。

「あ!そぉだ。これあげる、お詫び!」

手渡されたのは一枚の栞だった。
紫の押し花。
…綺麗。

「じゃあ、またね」

男は栞を手渡すとスタスタと奥の方へ行ってしまった。

何…アレ。
新手のナンパ?

「…まぁいっか。もう会うことないと思うし」

私はあまり気にせず、男が歩いていった奥の方を見つめた。

ー次の日

今日も変わらず電車は混んでいる。

「あ!」

大きな声がして、後ろを振り向くと昨日の男が満面の笑みで手を振っていた。

「おっはよ、また会った!」

…テ、テンション高い。

「いやー、昨日名前聞きそびれたこと帰ってから気づいたよー」

そう言いながら、私の前髪を人差し指で持ち上げる。

「!?」
「あ、傷になってない。よかった」

ぇ…
それ確認するために会いに来たの?

「あの…本当に大丈夫だから」
「あ、俺町場祐」

急に話を変えられる。
な、何だ…こいつ。
変な奴。

「ぁー…相葉くるみ…デス」
「くるみちゃんかぁ、よろしく」
「!?」

首に手を回され、祐の方に引き寄せられる。
…抱きしめられた。
…やっぱ、おかしいコイツ!!!!

                 …***…

「めちゃ疲れた…」

なんと…祐は隣の高校だったのだ。
そのため学校に着くまであのテンションにつき合わされた。

「くるみ!聞いてよ!」
「なぁに…」

だるい声で友人の声に返答する。

「彼氏が浮気してたの!本当最悪!!もう、あんな奴別れる!信じてたのに」

信じてたって…そういえるほど本当に信じてたのかな…?
すぐ次を見つけるくせに。

「くるみ!だから今日オケ行かない?慰めてよぉ」
「ぁーごめん。今日用あるんだ」

…なんて
そう思う私がおかしいんだろうな。

ー帰り道

「んよっ!」

テンションの高い声が聞こえ、怠そうに後ろを振り向く。

「…どーも」

何で会っちゃうかな…
そこにいたのは祐だった。

「ななー、これからどっか行かねえ?」
「は?」
「いいよな?よしっ!決定」

勝手に決められ、手を握られた。

「ちょっ!待っ!」

待ったの声も聞いてもらえず私はズルズルと引っ張られるのであった。
 
本当…祐といるとなんか、
妙な気持ちになる…

「あれ?くるみちゃん顔赤いよ?照れてんの?」 
「は!?ち、違うし!」 

引っ張るのを止めずにニヤニヤしながら聞いてくる祐。

「なぁんだ、ドキドキしてんのは俺だけか」

…ドキドキ。

「…そーゆーこと軽々しく言わないで。みんな簡単に恋してるけど好きってそんなもんなの?ドキドキする事があってもそれがいつか消えるのなら、それが本当に好きってことなのか分からないじゃん…」

…って…
何語っちゃってんの、私。

思わず手を口に当てる。
だけど、その手は呆気なく掴まれる。

「…いつか消えてもさ、大切なのは今の気持ちなんじゃねぇの?」
「ぇ…」
「この人に触れたいとか声が聞きたいとかもっと知りたいとか。そういう単純な気持ちを好きって言うんだよ」

初めて見る祐の真面目な顔に不意にドキリとする。

「…っゆ」

口を開こうとして止める。
祐の顔が悲しみに崩れた。

「もう…軽々しく触ったりしねぇから」

そう言って、手を離される。

「あ…」

『寂しい』と思った。
『この人に触れたい』
…この気持ちって…

『声が聞きたい』
『もっと知りたい』
この気持ちが『好き』っていうんだ…

「…っっ」

祐の後ろ姿に勢いよく抱きつく。

失恋をしたってまたすぐ次を見つける。
恋ってそういうもの。
…だけど、君とこの気持ちは信じたい。

「くるみ…?」

好きっていう不確かな気持ちは
君といることで確かなものに変わると思うから。

「え、えーと…これって…」
「言わなくても分かるでしょ!」

恥ずかしさのあまり顔を背中に埋めながら大声を出す。

「くるみちゃん」
「!」

名前を呼ばれたかと思うと、肩を掴まれ唇に何かがあたる。

「ぇ…」

見上げるといつもの祐の満面の笑み。

「こーゆーこと?」

そう言ってまたキスをする。

…人を好きになるって、つまりは…
こーゆーことだよね?

*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー