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- Re: 恋芽生え、愛咲く〜喜恋・悲恋〜【短編集】『もし、(略)』更新 ( No.62 )
- 日時: 2013/07/14 13:55
- 名前: 珠紀 (ID: 19azOdVu)
『もし、あのトキに戻れるのならば』【オリジナル】
島村まどか Madoka Shimamura
佐伯一馬 Kazuma Saeki
*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
〜まどかside〜
『お前先輩のこと好きだもんな』
…また言えなかった。
ずっと隠してきた
私の本当の気持ち。
「まどかちゃん」
呼びかけられ後ろを振り向くと、先輩の姿。
「先輩…」
「返事聞かせてもらっていい?」
「先輩、私は本当はすごくズルくてひどい奴なんです」
「え?」
私は
有里の恋を応援するなんて言っておきながら
一馬のことが諦めきれなくて
あの時
後夜祭で願ったーーー…
『…あのね…まどか。私一馬君のことが好きなの!だから応援してほしいの!一生のお願い!!』
『…分かった』
忘れよう
大丈夫、できるよ
そして他の人を好きになればいい
そうすれば…いいだけ
簡単なこと。
『まどか』
「…っ」
ーーだけどダメだ。
忘れられるはずなかった
優しくされたら嬉しくて
だけど苦しくて
心の全部が一馬でいっぱいなの
1ミリの隙間もないくらいに…
あの後夜祭の時
『戻りたい』って願った。
一馬に他の人が好きって誤解される前に!!!!
「…まどかちゃん?ずっと黙ったままで…大丈夫?」
私の想いはいろんな人を傷つける
だけど…
「ごめんなさい、私ずっと好きな人がいるんです!その人じゃないきゃダメなんです!」
「…」
先輩はため息をついて、私の頭に手をのせる。
「…まどかちゃん。好きな奴がいたらみんなどっかズルくてひどくなるものなんだよ?だから、まどかちゃんは本当に酷い奴なんかじゃない…。そっか、うん。返事聞かせてくれてありがとね」
…***…
《間もなく後夜祭を開催致します。校庭にお集まりください》
ごめん、有里
やっぱり私、一馬が好きなの
有里が私を嫌いになっても
一馬が私を友達としか思ってなくても
「有里!」
有里の後ろ姿を見つけて、大声で呼び止める。
どうしても伝えたいの。
「まどか」
「あのね、有里。私…」
「一馬君のことならもういいよ。…私さっきフられたから」
え…!?
「まどかのことしか考えられない…っだって」
「…っ」
「ごめん、まどか。2人が好きあってるの気づいててわざと応援してなんて頼んだの…だってそうでもしなきゃ、まどかに勝てっこないもん」
有里…
「私こそごめんね!ずっと隠してて…っ」
「ほら、いいから行きな。まどかのこと探してるはずだよ!きっとさ、あんたたちならあのジンクスも叶えられるんじゃない?」
私は彼の元へ走り出す。
ねえ、一馬。
私にもっと勇気があれば
こんな遠回りしなくてすんだかもしれないね
《18時より後夜祭を始めます》
大きく息を吸う。
私が次に願うのは
「「「「一馬ぁーーーーーーーっ好きーっ」」」」
大好きだよ……っ!!
「まどかっ」
一馬の声が聞こえたかと思うと、なりふり構ってられず駆け出す。
一馬も私の元へ駆け出す。
一馬との新しい未来
2人の未来
私たちは思いっきり抱きしめあう。
「これも奇跡なのかな…」
「え、“これも”?」
そっと私を離して、一馬は口を開く。
「信じられないかもしれねぇけど…俺、後夜祭2度目なんだ」
「え!?私も…!!」
「「もしかして“戻りたい”って願った…!?」」
2人の声が重なる。
「…」
「…」
笑いあう。
「もう二度と離さない」
好きな人と想いあえること
それだけでさ
『最高の奇跡』
*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー