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Re: 恋芽生え、愛咲く〜喜恋・悲恋〜【短編集】*アンケート実施* ( No.86 )
日時: 2013/07/22 00:51
名前: 珠紀 (ID: 7jx1K2pT)

『猛犬注意』【実話】

来栖麻衣子 Maiko kurusu

沢部涼太 Ryouta Sawabe

*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

私は優しい人が好きです。

「好きです。付き合ってください」
「えっ」

なのに…
なぜかこの人に
告白されてしまいました。

沢部涼太
彼は世に言う
不良です。
ーー私の一番…苦手な人種

私は背を向け走り出す。

「あ、逃げた」

だけど呆気なくその手を掴まれてしまった。

「告白の返事、まだもらってないんだけど」

返事も何も…
OKもできないし
…断るのも怖いし…

…もう流していこう…

「ぱっパン買いに行きたいので」
「パン?あ、昼か」

涼太君はパッと私の手を離す。

「俺もパン欲しいから一緒に買ってくるよ!!麻衣子ちゃんは屋上の場所取りね」

にっこり笑って、彼は走っていってしまった。

ー…なんか
くるう…表情だなぁ…

                  …***…

「はい、どーぞ!!」
「……ありがとうございます…」

結局、一緒に食べることになってしまった…

あ、チョコサンドあるー

「チョコサンド、好きなんだよね?」

え…

彼を見ると笑顔を向けられる。

「な…なんでそのこと」
「知りたいんだよ、君のことが好きだから」
「!!」

顔が真っ赤になるのが分かる。

「ひっ」

立ち上がると同時に腕を掴まれる。

「なっ!!なんですか!?」
「また逃げようとしたっしょ?」
「…」

言い逃れできない。

「俺…言い続けるかんね」
「?」

後ろの壁に手をつかれ、顔を接近される。

「返事くれるまで…好きって」

流そうとしてたの…バレてた?

ーそれから…
涼太君は…毎日、告白してくるようになりました…
IN廊下、IN登校、INお昼、IN下校

ーーーーIN放課後

「麻衣子ちゃん、大好き」
「ーーー…あの。荷物運び手伝ってもらってなんですけど…それ、やめてください」
「だからさー麻衣子ちゃんが早く返事くれればいいんだって!」
「!?」

ズイズイ距離が縮まる。

「え…えっと…」

ードンッー

「ーーーーえっ、わっ!?」

ダンボールに腕がぶつかった拍子に上からダンボールの山が落ちてくる。

…痛く…ない

涼太君が私の上に覆い被さっていた。

「大丈夫?麻衣子ちゃーー…」

目と目がバッチリとあう。
…近い。

「あ…」

唇が触れそうな瞬間…

「沢部ーーーー!」

ーびくっー

「んだよー最近見ないと思ったらさー」
「その子彼女?」

ムラムラと男集団が入ってくる。

「……なんだよ」

涼太君の低い声。

「へ〜結構可愛いじゃん。なぁ…ちょっと貸してよ」

グッと男集団の1人に肩を掴まれる。

ードカッー

「…っ!」

涼太君がその男の人を殴っていた。

「麻衣子ちゃん!?大丈…」
「いやっ!!」

ーパンっー

音が響き渡る。
…私が涼太君の頬を叩いた音が…

「…っ!行くぞ!」
「鍵閉めとけ!」

え!?

ガシャリと鍵を閉められてしまった。
逃げることもできず、2人してぽつりとたたずむ。

ーーーー他に…
考えることは…
たくさんあるはず…なのに

涼太君ーーー…
なんで…
こっちを見てくれないの…

ー数時間後

時刻はもう、7時をまわっていた。
…沈黙が痛い
もう完全に謝るタイミング逃してるよな…
叩いたこと
ーー怒ってるのかな

思わず、叩いちゃった…
…あの時の涼太君の顔
傷ついた、顔だったーー…

「へっくしょん」
「…寒い?」

くしゃみ…
なぜ、こんな時に

「いや!!大丈夫だよっうぃっっくしょん」

………………………。

「えーー…わっ!!」

涼太君の上着をかけられる。

「いいよ!?涼太君、寒くなっちゃうよ」
「いーって」
「いやいやいや!!私ばっかり助けられて…」
「ーー…じゃあ…最後に一回だけ」

ぎゅっと力強く抱きしめられる身体。

「ごめんね、俺のせいで巻き込んで…君の前で人を殴って……怖がらせて、ごめん」

違うーーーー…

「…用務員さんが来るまで待とうと思ってたけど、今開けるからーーーー…もうつきまとったりしないから…今までごめんね」

違う…
行かないで

「待って!!」

必死に涼太君の裾を掴む。

「違うの!!…さっきはちょっと…びっくりして叩いちゃっただけで…怖かったわけじゃなくて!」

あ…なんだろう、この…
久しぶりに目があった…
嬉しい感じ

「あーーもう…せっかく離れる気になったのに…」

キュッと手を両手で握られる。

「…嫌だったらひっぱたいていいから…」

『もっかい抱きしめても……いい?』

*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー