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- Re: 恋芽生え、愛咲く〜喜恋・悲恋〜【短編集】*アンケート実施* ( No.88 )
- 日時: 2013/07/22 00:05
- 名前: 珠紀 (ID: 7jx1K2pT)
『幸せな約束』【オリジナル】
岬真由 Mayu Misaki
境雅也 Masaya Sakai
*Start*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
明日も明後日も
ずっと、ずっと
一緒にいられると
そう…思ってたよ
「ね〜雅也。もうすぐ私の誕生日だよ!プレゼント、今年は高いものがいいな」
「真由、お前ね…何を言って…」
「嘘だよ〜でも期待はしてる」
私と雅也は付き合い始めて5年目。
始まりは中学の時、放課後の教室…
私の誕生日に雅也が告白してくれたこと
その時から誕生日は、毎年2人きりで過ごす特別で大切な日になった。
「今年はどんなケーキ食べよっか?」
「太るぞ」
「余計なお世話!」
毎年誕生日に雅也は1つ約束をくれる。
『来年も一緒に祝おう』
どんなプレゼントよりも
私はそれが嬉しいから
今年もまた
約束しようね、雅也。
…***…
ー下校時
「あ!携帯忘れた!取ってくるからそこで待ってて」
横断歩道を渡ろうとすると、物凄いブレーキ音。
「え…?」
「「「真由っ…!!」」」
雅也の叫び声。
私は何かにぶつかった。
何これ…体中痛いな
なんなのこれ…もしかして
私、このまま…死ぬのーーーー?
そんな…
そんなのやだ
嫌っ雅也!!
「…っ!」
パッと目を開けるとそこは…
あれ…?
ここ、雅也の部屋だ…
変な夢見ちゃったな
でも妙にリアルだったような…
「真…由…?」
開いたドアの方向を見ると、驚いた顔の雅也。
「…?どうしたの、雅也?」
「…なんで、なんだよこれ…なんで真由がここに…?お前は事故にあって病院で意識不明の重体にあってるんだよ…!!」
「…何…それ」
じゃあ私は…
なんなの?
「幽霊なの!?雅也には見えるんだよね!?何で!?私このまま死んじゃうの!?」
「死ぬ訳ないだろ!!」
雅也の大きな声が響く。
「真由は死んだりなんてしない、しない、しないだろ…!!」
震える雅也の手が
自覚させる。
『私の命はもう…長くないんだ』
自分にこんなことが起きるなんて
想像もしてなかった。
「こ、これって考えてみたらただの幽体離脱だよ!早く…早く体治して元に戻らなきゃね?誕生日だってもうすぐだし!」
「ああ」
…雅也は分かってる
私が無理して笑ってるって
ごめんね…雅也
大好きだよ、雅也
ずっと、あなたのそばにいたい
けど…いつ死んでもおかしくない私の体
尽きてしまう、私の命
ずっと雅也のそばにいたい
死にたくない
だけど分かってる
それは、きっともう
『叶わない』
「…お願い、もう少し頑張って…!!」
私は押し殺すように呟いた。
ー次の日
「雅也、私行きたいところがあるの」
そう言ってついた先は中学校だった。
「なつかしー教室」
「見つかったら怒られるぞ…これ」
「大丈夫、それは雅也だけだし」
「おい…」
カタンと昔の自分の席に腰掛ける。
「ホント懐かしいな、今でもはっきり思い出すよ。雅也が誕生日に告白してくれた放課後…お互い緊張して震えてたよね」
もう…私の命は…
「ねぇ…雅也、雅也に好きになってもらえて本当に幸せだったよ」
「な…んだよその言い方…やめろよ!」
ーヴーヴーヴーッー
雅也の携帯のバイブがなる。
「雅也、携帯なってるよ」
「そんなのどうだってっっ」
「ダメだよ出て」
だってそれは…
「私が死んだって知らせの電話だから」
ありがとう、雅也。
「何…何言ってんだよ、ふざけんな!死んだってなんだよ…このまま消えるなんて許さねえ…!俺は…」
ボロボロと雅也の頬に涙がつたう。
「お前が、し…死んだってずっと一緒にいるって…!」
「…私ね、雅也の彼女ですごく幸せだった。だからまた誰かを幸せにしてあげて?そして誰よりも」
あなたが幸せにーー…
そっと彼に口づけをする。
「バイバイ雅也」
それは最後に君と交わした
幸せな約束ーー…
*End*ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー