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- Re: 逆ギレマスカット【8話 完結。ウサミミの告白】 ( No.107 )
- 日時: 2013/07/26 14:17
- 名前: 冬の雫 (ID: /ReVjAdg)
9 告白の返事
「マスカット、あんた先輩フったの!?」
舞透が教室に入るなり、花はそんな声を出した。
今が休憩時間だからいいものの、生徒は周りに結構いる。
舞透は、「はっ?」と驚くが、痛い視線に、「ちょっとこっち来い」と花の腕を掴んだ。
「ちょっ…、何よ!」
「それオレのセリフだから!なんで急にあんなこと…」
「いいから腕 離してよ!」
「それはムリ。お前絶対逃げるだろ」
「なんで!」
舞透は花の腕をしっかりと掴み、廊下をズカズカと歩いて行く。
廊下でもやはり視線は痛かったのだが、教室よりはマシだと思った。
「……よし、着いた」
「いやーっ、拉致監禁変態誘拐ぃーーーっ!!」
「! ちょっ…、黙れ!」
舞透が耐えきれず花の口を抑えると、花は声にならない声を発した。
「静かにしろって…。」
「………、…っ」
二人がいるのは、屋上。
いつも何かあれば、屋上に来るようようになってきている。
花は、やっと解放された瞬間大きく息を吸った。
「……ぷはっ!このヘンタイ!」
「はぁ?」
「…それよりなんでここに連れてくんのよ!話なら教室でいいじゃない」
「あのなぁ……。」
呆れたように舞透は声を漏らして、屋上の金網のフェンスに寄りかかる。
ガシャ、とフェンスが小さく音を立てた。
「……マスカット。あんた、なんで弥生先輩フったのよ」
小さく、でも舞透に聞こえるように花がつぶやいた。
舞透は、花を見て面倒くさそうに「あー……」と言葉を紡ぐ。
「そりゃあ…弥生先輩を恋愛対象として考えられなかったからだよ」
「なんで」
「なんでって……、」
花自身も、「わたしは何を言ってるんだろう」という不安定な気持ちが渦巻いていていた。
こんなことを言ったって、答えられる筈がないのに。
───これは、何だろう。
………嫉妬?
「…っとりあえず!お前は気にすんな。
…それよりさ、大地ってバスケの試合の代理することになったんだろ?何か言ってやらなくていいのかよ」
何かってナニよ、と花が少しふてくされたように言うと、舞透は「例えば…」と視線だけ上にずらした。
「……おめでとう、とか?」
「…ぷっ、ナニそれ!」
「…なんだよ」
「典型的過ぎるでしょ」
花は一通り笑って、少しスねる舞透に言った。
「もし優勝したら、大地にキスでもしてやるわよ」
───この発言が、後に更なる波乱を招くことになるとは、花は思っても見なかった……───