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Re: 逆ギレマスカット【夏休み企画&本編更新】 ( No.141 )
日時: 2013/08/03 11:05
名前: 冬の雫 (ID: Oh9/3OA.)

10 ふたつの放課後

六時限目が終わり、HRが終わり。

───宮本 大地に待っているのは、バスケという名の体力消費。

「大地、今日も練習行くの?」
「? うん。なに?姫ちゃんまさか応援してくれ…「ナイ。」…ですよねー……」

るー、と涙を流しながら、鞄を肩に教室を出ようとする大地。
するとそんな大地に、「なぁ」と呼びかける声があった。

「え?…あ、マスちゃん…」
「試合、いつあるんだっけ」
「試合?は、来月の終わり頃かなー」
「あーわかった」

舞透はそう返事をしてから、耳元で小さく「姫島も連れて行くから」と意地悪に言った。

「……っ!!」
「わー顔真っ赤ー」
「マスちゃん!いつの間にそんな意地悪にっ!」
「お前の為を思って言ってんだよ。姫島がいないと、やる気でないだろ?」

舞透に図星を突かれ、大地は「ぅ……」と反論できなくなる。

チラッと花を見て、「姫ちゃんはマスちゃんが好きなんだけどね…」と目を伏せて小さく言った。

「ん?」
「いや、何でもない…。っじゃ、また明日!」
「? おう」

やけにカラ元気に手を振る大地に、舞透は首を傾げながら大地の背中を見ていたのだった。

★☆★

「待ってたぜ宮本ーーっ」

大地が練習着に着替えて体育館に着くなり、高良のそんな声が聞こえて「はっ?」と大地は少し身を引いた。

「今日はさ、一年対二年で練習試合しようと思ってたんだ!」
「練習試合?」
「おう!」

なんだろう、嫌な予感しかしない。
大地は何故かキラキラと光る高良の目を見つめて、恐る恐る頷いた。

「よっしゃあ!じゃあ早速…「おい天道ー、楽しみなのはわかるが、最初にちょっと本番の確認するぞー」…えぇっ」

なんでですか!と高良が残念がるが、三年生は「確認だけだって」と困ったように笑った。

「…うーす……」
「…よし。じゃあ全員集まったな。今から、本番の試合の説明をする」

そう説明するのは───部長ではない。

副部長。

「なぁ…なんで部長じゃなくて副部長が仕切ってんだ?」

大地がそれを見てそう言うと、高良は笑いながら言った。

「ああ、部長は基本やる気がないからな。副部長の方がリーダーっぽい」
「もう部長じゃないじゃん空島先輩……」
「でも部長に当てはまるんだよあの人は。変だよな」

高良は笑って、「あ、説明始まった」と前に立つ副部長に顔を向けた。

「───お前ら、今度体育祭があるのは知ってるよな?」
「え、体育祭あんの?」
「知らなかったー」
「お前ら……」

副部長は呆れたように言葉を零してから、取り直すようにコホンと咳をする。

「…俺らバスケ部の試合は、体育祭の一ヶ月前に行われる。───つまり、試合が終われば即体育祭の練習ってことだ」
「えーきっつー」
「普通そんな時期にないですよね?」
「ああ。今年は異例だ。試合相手の音高が、俺らと戦いたいと無理矢理仕組んだ試合だからな」
「ムカつくな音高」
「な」
「…まぁいい。とにかく、相手はあの音高だ。気を引き締めて練習に臨め!」
「「「「「おっす!!」」」」」

バスケ部員が目指すのは、優勝。

大地が目指すのは───告白。