PR
コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 逆ギレマスカット【コメ下さい!】 ( No.26 )
- 日時: 2013/06/24 16:57
- 名前: 冬の雫 (ID: HU9qn.Bn)
★☆★
───オレは昔から、これは何度もいうが、自分の名前が嫌いだ。
そもそも良いとなんて一度も思ったこと無いし、この名前を気にしないヤツの方が凄いと思う。
───それにはちゃんと、理由があるんだ。
これは確か、中学生の頃だったと思う。
オレには───一度、恋人がいた時期があった。
そいつは沖宮 結衣といって、オレが最初で最後に愛した人だ。
結衣とは中学の頃知り合って以来、自然と付き合う方向に向かっていった。
なんでかは分からないが、告白なんて必要なかった。
ただ、笑う結衣が愛おしくて。
オレは結衣がいてくれるだけで、幸せだった。
───でも。
人間とはなんとあっけないのだろう。
───結衣は、オレに何も言わずにこの世を去った。
オレは泣いた。
自覚する限り、産まれて初めて心の底から。
悲しい、なんてものじゃない。
まるでオレの中から、全てがごっそりと抜かれるように。
その抜かれた量の分だけ、ことごとく涙はオレの頬を伝った。
後から結衣の両親から、ある事実を聞いた。
『結衣はね、意識がなくなる前、ずっとうわ言のように何かを呟いてたの』
『…な…、なんて言ってたんですか』
『わたしが なに?って聞くとね、』
結衣の母親は息を吸う。
吐くと同時に 悲しみも吐き出されるようで、オレは胸が締め付けられるようだった。
『……鬼灯くんの名前を、ずっと繰り返していたの』
オレは、自分の名前が嫌いだ。
PR