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Re: 逆ギレマスカット【コメ下さい!】 ( No.30 )
日時: 2013/06/24 23:43
名前: 冬の雫 (ID: VHEhwa99)

決して近道なんかじゃない。
遠回りしながら、
僕らは距離を縮めていく。

3 キレるマスカット

「お、落ち着いてマスちゃん!」

大地が慌てなだめるように、鬼灯 舞透にそう言う。

───わたしの勝ち、かな。

鬼灯は本当にキレているようで、それをなだめようとする大地に何かを言っているようだった。

「…あんた、舞透って名前なのよね。
……ヘンなの。本当に名前?
『マスカット』ってあだ名を付けてほしいと訴えてるようだわ」

わたしは、人をいじめるのが好きらしい。
怒りに歪む鬼灯の顔を見て、笑いが出てきそうだった。

…おっと、危ない。

本当に笑っちゃうとこだった。

「…てめぇ、いい度胸してんじゃねぇか」
「最高の褒め言葉ありがとう」

鬼灯が睨んでくるので、わたしは余裕の笑みで返す。

───話に残された大地は、一人困り果てていた。

「「……大地」」

わたしと鬼灯の声が重なる。
…ちょっと、邪魔しないでよマスカット!

「「帰れ」」

わたしと鬼灯の声が重なって威圧感が増したのか、大地は涙目になって「なんで!?」と叫んだ。

「え?」
「なんでって…」

「「……邪魔だから?」」

「…!!ひでぇっ」

大地はよほどショックを受けたのか、「後で憶えとけよ!」と言いながら屋上を出て行った…───


「……で?お前オレに何か用あんのかよ」

二人っきりになった屋上で、鬼灯が冷たい声でそう言った。

───ヤバイ、こいつ面白い。

「いや別に?あんたをからかいに来ただけ」
「……あ"? 何のために」
「わたしドSなんでしょ?じゃああんたはドM臭がしたからさ」
「オレはMじゃねぇ」
「わたしにはそう見えるのよ」

わたしは笑って、鬼灯を見た。

───すると突然、視界が歪む。

「…へ…、…!?…きゃっ」

わたしは鬼灯に引っ張られ───なぜか、屋上の金網の所へ押し付けられた。