コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 逆ギレマスカット【7話更新】 ( No.93 )
- 日時: 2013/07/14 18:32
- 名前: 冬の雫 (ID: JxRurJ5z)
★☆★
「弥生先輩……」
約束された場所へ、駆け寄った。
辺りを見回して、弥生先輩の面影を捜す。
───いた。
「弥生先輩」
近付いて名前を呼ぶと、弥生先輩の長いポニーテールがふわりと揺れた。
弥生先輩はオレを見て、優しく微笑む。
「やっぱり来てくれたのね、舞透」
弥生先輩はそう言って、嬉しそうに目を細めた。
───あれ?
なんだろうこの感じ。
弥生先輩が…いつもと違って見える。
なんというか、何か一大決心をするような。
今から発せられる弥生先輩の言葉を聞くと、何かが壊れてしまいそうな。
───なんだ?
よくわからないが、とりあえず嫌な予感しかしなかった。
「……弥生せんぱ…、」
腑に落ちない“何か”を感じて言葉を紡いだ時。
風が、オレの動きを封じた。
「……っ、風つよ…っ…」
音を立てながら、風は少し距離のあるオレと弥生先輩の間を悠々と吹き抜けた。
───しばらく風の去るまで目を瞑って、そろりと開けて見る。
「───〜〜っっ……!」
───すると霞んだオレの視界には、そんなオレを熱の帯びた目でじっと見つめる弥生先輩の姿があった。
予想しなかったその熱い視線に、オレの心臓はどくりと波打つ。
「先輩……?」
「………………」
弥生先輩は、揺れるオレの髪を見ているようだった。
…かと思えば、今度はオレをつま先から頭まで見据える。
そして、目がバチリとあった頃には。
弥生先輩の顔は、真っ赤だった。
「………!」
「!…ぁ、ご、ごめん舞透……」
「…い、いえ…、…」
なんて言ったらいいんだろう。
先輩のまとわりつくその視線は、まるでオレを「離したくない」と訴えるようだった。
……て、自意識過剰か?オレ。
「あの、先輩。話って…?」
オレが言ってから、先輩は「あ、そうね…」とうつろに言葉を放った。
いつもと違う雰囲気に、オレは首を傾げる。
弥生先輩は、一つ息を吸って、そして吐いた。
「あなた…いや、舞透に大切な人がいたとしても。
───あたしは、舞透が好き」