コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 地獄はドSの手によって。【コメください!】キャラ募集中です! ( No.37 )
- 日時: 2013/06/30 12:13
- 名前: 冬の雫 (ID: JxRurJ5z)
5エルフな彼女と悪魔な彼女と【募集キャラ3人使用!】
[地獄、門]
門では、閻魔がずっしりとした巨体を抱え、ある人物を見つめていた。
「…脊那クン、それは困るネ」
閻魔がそう言うと、脊那と言われるその人物は「どうして」と敬語は使わず声を発する。
「いやだって…、それは何でも…ネ」
「閻魔。私、人は殺られる為に生きているとしか思ってない。…だから、あなたを殺ってもいいのよ?」
「そんなことをいうかネ!?
恐ろしい娘だ」
閻魔は息を吐いて、「でもネぇ…」と言葉を詰まらせる。
脊那は呆れたように閻魔を見て、「もういい、閻魔には頼まない」と地獄の門を後にした。
[地獄、冥福の泉]
「あ、脊那さん。おかえりなさい」
脊那が冥福の泉に行くと、エルフの羽与が笑顔で寄ってきた。
脊那は「羽与」と羽与を見る。
「どうだった?」
「ダメ。───あの閻魔、マトモに話なんか出来やしない」
「……そう」
羽与は少し残念そうに言って、「…じゃあさ」と脊那を見た。
脊那は「何よ」と半ば諦めたように煙草の煙を漂わせる。
「舞夢さんに、言ってみたら」
「舞夢さん?誰よソレ」
泉は静かに中央から波打っている。
その横にいる二人の泉に映っている姿は、静かに、揺らいだ。
「この地獄を治めている、サディストな人よ」
[地獄、広場]
広場では、ざわざわと人混みが出来ていた。
そこにいるのはこの地獄の住人たち。何かを言って、ざわついている。
「何があった」
そこに、騒ぎを嗅ぎつけた舞夢が人混みに言った。
種族様々な人混みはまたざわつき、その中の一人琴音が「舞夢さん」と舞夢に駆け寄った。
───もちろん、亞夜も一緒に。
「実は、エルフと悪魔が舞夢さんを呼んでいるんです」
「はぁ?オレを?」
舞夢は意味が分からずに、広場の中央の高台を見る。
───すると、居た。
銀色の髪のエルフと、眼帯を付けた黒髪の悪魔が。
「あ、あれか?舞夢ってのは」
「そうそう!やっほ〜舞夢♪」
二人がそう言うと、人混みが一気に舞夢と二人の間を空けた。
舞夢は「…誰だ、お前ら」と顔を顰める。
「えー、わたしのことは分かるでしょ?羽与よ、羽与」
「脊那、自称25歳。……やっぱ自己紹介って面倒だわ」
羽与はのんびりと言い、脊那は前髪を掻き上げながら言う。
舞夢は「ああ、羽与なら分かる」と少し思い出したように声を出した。
「亞代の書斎にちょくちょく来てはオレにちょっかいを出す」
「わぁ、舞夢ったらそんなこと気にしてたんだ〜」
「そんなことって何だ、その羽引きちぎってやってもいいんだぞ」
「舞夢こわいっ」
二人が言い合っていると、「…話、いいかしら」と脊那が声を発した。
「ああ、そうだ。…用は?」
「あなたって、ここを治めているんでしょう?じゃあ、頼みを聞いてほしいの」
「頼み?」と舞夢が少しだけ自分の刀に触れる。
警戒、しているのだろうか。
まぁ、ムリもない。
だって、脊那の帯には明らかに硬そうな矢が七本もあるのだから。
「頼み、っていうのはね」
脊那が続ける。
心なしか、その横にいる羽与の澄んだ空色の瞳の奥が揺らいだような気がした。
「この地獄に来る、人間に会わせてほしいの」
[地獄、広場]
「…なるほど、それは閻魔に頼んでも掛け合ってもらえない筈だ」
「そう、あいつはまるでダメ。───だから、あいつよりは少し話の出来そうなあんたにどうにかしてもらおうと思って」
脊那はそこまで言うと、高台を静かに降りた。
羽与も釣られて、降りてくる。
ざわつき始めた人混みの間を行くと、辿り着くのは舞夢だった。
「…目的は?」
「目的?そんなのない。ただ虐めたいだけ」
「虐めてどうする」
「あんたには関係ない」
脊那がギロッと舞夢を睨むと、舞夢は無言だったが、口を開き「……分かった」と呟いた。
「…!本当?」
「随分とアイツと性格が似ている。人間が裁かれる所で、働いてみるといい」
「アイツ?」
「生意気な黒猫だ」
舞夢はそう言うと、「───おいお前ら、さっさと帰れ。見ものじゃねぇぞ」と人混みを睨み付けた。
舞夢から睨まれた人混みは一度凍り付くように固まり、「はっ…はい!」とバラバラと散らばっていく。
「あの〜舞夢さん、わたしは?」
羽与が少し控えめにそう言った。
舞夢は「ああ、お前」と付け足すように言う。
「脊那にはついてくのやめた方がいいから…、亞代の所にでも行ってろ」
「おっけーです」
「じゃ、オレ帰るから」
疲れたように舞夢がアクビをして、Uターンをする。
羽与は「おつかれー」と手をひらひらと振った。
───すると。
「舞夢」
そんな声が聞こえたかと思うと、顔の横ギリギリに硬い矢が飛んできた。
ヒュン、と鋭い音がし、舞夢は二人に背を向けたまま固まる。
「ありがとう」
脊那が無感情にそう言うと、羽与は「良かったね」と舞夢に耳打ちした。
そして、「亞代さんのところへ行ってくる!」と広場を後にする。
残された舞夢は、ポツリと呟いたのだった。
「なんでこんなに嬉しくないんだ…?」
[地獄、一丁目]
ぐつぐつと煮え上がる大きな釜。
他にも、先端が堅く触れると終わりの針山や、三途の川。
地獄絵図には必ず載っているだろう、乱暴な罰し方だ。
「さようなら…永遠に。」
澄んだ声がするかと思うと、その後は悲鳴、悲鳴、悲鳴。
この後はどうなるのか、そんなことすら見当出来ないほどそれは残酷で辛い。
「あんた?人を裁いてる黒猫って」
黒猫、美羅が何かが積もった山のようなものに立っていると、そんな声がして美羅は振り向いた。
暗い中に、矢が鈍く光るのが見える。
「…誰?…なんでここに…?」
「舞夢の許可で。ねぇ、ここで雇ってくれない?」
「雇う…?」
美羅は首を傾げる。
雇う、の意味が分からないのだろうか。
「いい、勝手にやってるから。───あなた、毒舌らしいじゃない。私とは合わなさそうだけど、しょうがないからここで働くわ」
脊那がそう言うと───美羅は、ポツリと言った。
「…そんなに死にたいのね」
[地獄、亞代の書斎]
亞代の書斎では、羽与が亞代の手伝いをしているところだった。
「ねぇ亞代さん、あの二人って、やっていけそうと思う?」
羽与はそう言いながら、自分に対しては大きな本を頑張って持つ。
亞代は「然うね…」と少し考えるようにして言った。
「意外と、合うんじゃないかしら。人を裁く事に向いているのは何方も同じなんだし」
亞代が言うと、何故かその言葉には説得力というものが必ず付いてくる。
この言葉も例外ではなくて、羽与は少し目を輝かせた。
「そうだよね。…あ、亞代さん、これどこに置いておけば良いですか?」
彼処よ、と亞代が指を指すと、羽与は羽を無駄に動かしてその場所へ向かったのだった。
第五話、完
すみません、三人一気に出そうと思ったら、
訳わからなくなってしまいました…(汗)
出番が極端に多くなったり、少なくなったりしてますね。すみません!