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Re: 地獄はドSの手によって。【番外編 更新】 ( No.91 )
日時: 2013/07/23 18:18
名前: 冬の雫 (ID: HOE8nich)

10 柚子と小悪魔【募集キャラ使用!】

[地獄、広場]

「大変だ大変だーーーっ」

広場では、琴音がそう慌てふためきながら走っていた。

近くにいた小鬼は、「どうしたの?」と赤ちゃんのように指を咥えて見ている。

「あっ…亜夜さんと柚樹さんが……っ」

ぜぇぜぇと息をきらしながら言う琴音の後ろ、つまり広場の中央では───亜夜と、小悪魔の柚樹が暴れて居た。

「小鬼ーーっ、亜夜サマのために集えーーっ!!!!」
「おい琴音!逃げんなよ〜っ」
「ふ、二人とも…やめてくださいよぉ」

琴音がそう言っても、二人は聞くはずもない。
小鬼たちは、「助けて琴音さん」と泣きながら琴音に寄ってきた。

「…うぅ…こうなったら……」

困り果てた琴音が考えついたのは、最後の手段だった。

[地獄、門前]

「如月を呼べだって?」

地獄の門前では、琴音の言葉に顔を顰める舞夢がいた。

目の前にいる琴音は、おずおずと舞夢を見上げる。

「は、はい…。亜夜さんと柚樹さんが暴れていて、とりあえず柚樹さんを追い出すためには如月さんが必要かなって……」

情報によると、柚樹は如月のことを極端に嫌っているらしい。
同じ悪魔同士だからなのかは分からないが、二人を合わせれば、火花が散るのは間違いないだろう。

「逆効果だと思うが」
「そ、そうでしょうか…?」
「ああ。……いや、待てよ…?」

何かを考える舞夢。
と思えば、舞夢は次には口を開いていた。

「…面白いことになりそうだ…」

舞夢の悪どい笑みに、琴音の背には途端に寒気が奔った。


───どうやら、舞夢のS心に火がついてしまったようだ。


[地獄、広場]

広場では、何も知らずに亜夜と柚樹が小鬼たちを困らせていた。

「わたしたちは舞夢さんの言うことしか聞かないわよっ」
「そうだそうだーっ」

小鬼たちがそう言って身を守ろうとするが、二人は聞く耳も持たない。

───すると。


「…またやってんだぁ、ゆーずきちゃん」


そんな声が聞こえて───柚樹は、尖った耳と尻尾をピンと立たせた。

「…………如月」
「舞夢が泣きながら俺に助けを求めて…「ねぇよ」…オホン。まぁそういう訳だから、ここは一旦引き下がりな?柚樹チャン」
「……っあーーー!!」

柚樹が「聞きたくない」とでも言うように、耳を塞いで声を張り上げる。
あらら、と言葉を如月の後ろでは、舞夢が「うるさ…」と顔を顰めていた。

「あっかんべ〜っ」

柚樹は思いっきり舌を出すと───並ならぬ速度で、広場を出て行った…。

「……柚樹撃退、成功」

如月はそう言って、笑ったのだった。

第十話、完

(舞夢さん、如月さん、ありがとうございました!)
(なァ舞夢、俺が追い出してやったんだから『ありがとう』って言ってみてよ)
(………………琴音、行くぞ)
(スルー!?)