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Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.11 )
日時: 2013/06/25 23:01
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

第五話

あの、嬉しい日の次の日の朝。小鳥達の声で、私は目覚めた。
が、今日は朝からなぜか雨。珍しい事この上ない。
「ミラージュ」
「はい」
「今日、嫌な事が起こる気がする」
「皇女陛下?」
私は言いたい事を言い終えると、ミラージュとの会話を中断させた。
窓から見えるのは、大雨を降らす、雨雲。
この、広い空の下、戦をしているとは、考えたくもない。
そして、私が戦に出るという事も。
すると、部屋の扉が開き、イアルが入って来た。
ノックをせずに入って来た事に、ミラージュは腹を立てていた。
「ねぇ、ノックをしてよ。急に入って来られたら迷惑なのよ」
「ノックぐらい、いいじゃないか。気にする事でもないだろ」
「ここは貴方の部屋じゃないわ。皇女陛下の御部屋よ!」
ミラージュは少しキレ気味で怒鳴っている。
これ以上続けられても迷惑なので、仲裁に入る。
「いいのよ、ミラージュ。私は構わないから」
「ですが………」
なおも何か言いたそうだったが、ミラージュは口をつむぐ。
すると、今度はノックが二回鳴った。
「ミラージュ」
ミラージュには、これだけで意図が伝わる。
この部屋に出入りできる人間もまた、限られている。
それは、あの庭園に出入りできる者達と同じで。
ミラージュが扉を開けると、そこには、見知らぬメイドが立っていた。
「入りなさい」
私がそう言うと、ラベンダー色の髪を、顔の横で二つに結んでいる少女は、「失礼します」、と言いながら入ってきた。
そして、扉をミラージュが閉め、私の側へと戻ってくる。
「お初に御目にかかります、フレミアイル・フィーア・シュヴァルツヴァイス公式第一皇女陛下。私は、ユウ・ファレストと申します。皇帝陛下から、貴女様の世話役を任じられました」
その言葉を聞いた途端、私、ミラージュ、イアル、そして、私のベッドの上で成り行きを見守っていた四天竜達が驚いた。
この子は何を言っているのだろう、と。
「貴女、何を言っているの?父君様の御命令?」
「はい」
ユウ・ファレスト。
得体の知れない彼女のことを知るには、父君様の所へと赴く方が早いだろう。
父君様に聞けば、彼女から聞き出すより、より多くの情報が得られる。
「ミラージュ。父君様の所へ行くわ」
「かしこまりました」
「イアルはユウ・ファレストの監視をお願いするわ」
「はい」
イアルに任せておけば、大丈夫だろう。
イアルは皇族直属軍の隊長。
〈神速のイアル〉という二つ名は伊達ではないのだから。
私は急いで支度を整え、部屋から出て行った。