コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.13 )
- 日時: 2013/06/27 21:08
- 名前: シア (ID: 0cRf5/D/)
第六話
私は、夢を見た。
いや。
夢と言い表すのは、不適切だ。
私が見たものは、予知。
それは、私が戦で、致命傷の傷を負うという内容だった。
血塗れで、衣服も、髪も、自分の血の色で染まっていた。
そんなこんなで、起きたくなるわけがなく、朝からベッドに横になっていた。
「フィ」
「………イル?」
私を呼んだのは、イアルだった。
さっきまで部屋の外に居たはず。
私は、部屋の扉が開く音にも気付かなかったらしい。
私は体を起こした。
目についたのは、イアルが持っていたトレイだった。
その上には、粥が入ったお椀が乗っていた。
「ミラージュからだ。いつもの食事は受付ないだろうからって言って、作ってた」
そう言うイアルの服装は簡素だった。
今日は愛剣を腰に吊るしてはいなかった。
「イル」
「ん?」
イアルはトレイを机の上に置き、ベッドに腰掛けて来た。
「愛剣は?」
「あぁ。このままここに居ようかと思ってな」
「そう………」
ミラージュとイアルは、私がどんな予知を見たか、知っている。
昨日から私付きの世話役に成ったユウには言ってない。
まだ信頼していいのか、解らないからだ。
私はいつになく暗い顔をしていたのか、イアルが、私の頭を撫でて来る。
「イル?」
「大丈夫だ」
イアルがそう言うと、何だか、本当にそうなる気がした。
私が微笑むと、イアルは顔を近づけて来た。
イアルの意図を察し、イアルの澄んだ空色の瞳と焦点が合わなくなったところで、私は、瞳を閉じた。
すると、温かいものが、私の唇に重ねられた。
私はすぐにそれが、イアルの唇だと言う事を認識した。
それは、イアルと付き合い始めての、初めてしたキスで。
いわゆる、ファーストキス。
数秒間、私とイアルは、そのままだった。
イアルの唇から伝わる熱は、私の不安を取り除いてくれるかのようで。
とても、安心できた。
同時に、気恥ずかしくもあったが、イアルの熱が、私のそういう気持ちを溶かしていった。
イアルの唇が離れてから、私は、イアルの瞳を見つめながら言った。
「イル。私を愛してくれて、ありがとう」
微笑みながら。
すると、イアルは、
「あぁ。フィ。俺のことを愛してくれてありがとな」
そう言った。
私とイアルは、恥ずかしさからか、お互いの顔を見て、笑いあった。