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- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.25 )
- 日時: 2013/07/02 21:27
- 名前: シア (ID: 0cRf5/D/)
第八話
私は何故か、夜中に起きた。
察するに、昼のことが原因だろう。
あの後、私は深い眠りにつき、今までずっと寝ていたのだ。
イアルがベッドまで運んでくれたのだろう。
布団の上には、四天竜達が、くるまりかたまって寝ていた。
私はその姿に笑いをこぼした。
四天竜達だって生きている。
けれど、私達に比べると、長い長い年月を過ごしてきたのだ。
その中で、何を見てきて、何を知り、何を感じ、何を思ったかは、巫女姫である私でさえも、わからないこと。
けれど、過去がどうであれ、今の私には必要な存在ということに、変わりはない。
すると、控えめに、扉がノックされた。
扉を開けると、そこにいたのはイアルだった。
「イル…」
「大丈夫か?」
「うん。落ち着いた」
私は、ベッドの側の小さな机の上の灯りを灯した。
「座れば?」
私は、椅子を指し示しながら勧めた。
「どうしたの?こんな時間に」
「そろそろ起きるかと思ってな」
「そう…。あ、紅茶、入れようか?」
「いや、いいよ。お前の顔を見にきただけだし」
「そっか」
私は、唐突だと思ったが、いずれは聞くことになるだろう事を、聞いてみた。
「ねぇ………」
「ん?」
「イルは、戦に、出るつもりなの?」
イアルの顔は、驚きに満ちたものだった。
出てほしくない。
それが、私が、求める答え。
けれど、私には解る。
彼が、そんな答えを出さないことを。
長年、だてに一緒に居たわけではない。
イアルの考えぐらい、解ってしまう。
それは、恋人になってからとても、ひしひしと解る。
彼が、私が居ないところで、戦い、傷を負い、致命傷になったら。
考えただけでも、鳥肌がたつ。
辛いことこの上ない。
いや。
私は、イアルの居ない世界で、笑って、毎日を過ごせるだろうか。
充実した生活を送れるだろうか。
できない。
できるはずがない。イアルが居ない世界で、笑って、過ごすことなんて。
充実した生活を送るなんて。
絶対に、できない。
ただ、辛くなるだけ。
ただ、虚しいだけ。
「フィ」
イアルが口を開いた。
「出るよ」
「…………………………」
予想してた答え。
「出てほしくない………」
「フィ?」
「出てほしくないの。貴方には、出てほしくない。私が知らないところで、傷を負ってほしくない」
私はいつしか、知らない合間に、涙を流していた。