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- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.30 )
- 日時: 2013/07/05 23:09
- 名前: シア (ID: 0cRf5/D/)
「フィ?」
「私!私はっ!!貴方に傷を負ってほしくない!!」
そう言った私の語尾は、少し、荒かった。
泣いているから?
違う。
そうじゃない。
イアルを、引き止めたいから。
「私に貴方を失えって言うの?失いたくない!絶対に失いたくない!!私には竜の加護がある。それに、この国で唯一無二の魔力を持つわ。私は全ての竜に愛された存在…………………………。だから、魔法を使うことも、魔術を使い天変地異を起こすことも、いざとなれば、魔法陣で竜を召喚することだって可能だわ。でも、貴方には魔力が無いわ。戦には、天空では両国のドラグーンや竜の巫女が戦っている………。ドラゴンが起動させた魔法や魔術が、地上に当たらないとは限らない。そんな中に、貴方が戦うっていうの?そんな、そんなことっ!」
「フィ…………………………」
「貴方は、この幸せな時間を、自ら手放すつもりなの?」
解ってるの。
解ってる。
でも。
言わずにはいられない。
貴方が、この幸せを手放したくないことなんて、解ってる。
いつも、私のことを優しい瞳で見つめているから。
解ってるけど、貴方の瞳に包まれない人生を送りたくはないの。
だから、戦になんて…………………………。
戦になんて、出てほしくない。
私を…………………………。
私を一人にしてほしくない。
「フィ」
イアルが、ふと、私を諭すように言った。
「俺は、死ぬ気はないよ」
「え…………………………」
私は、その言葉に驚いた。
「じゃあ、何の為なの?」
「君と明日を生きるため」
「明日を…………………………」
「俺が、明日、明後日生きているかは保証がない。でも、誰だって、生きるために今を過ごす。フィ、お前だってそうさ。誰だって、命に終わりなんてものはある。だから、今を必死になって生きるんだ。お前と俺の違いは、いつ死ぬかだ。でも、誰だってすぐになんて死にたくはない。俺だって、お前の側を離れたくない。だから、戦うんだ。明日を、これからの未来を、お前と同じ時を共に居たいと思ったから。笑って過ごしたいと思ったから」
「だったら、約束して…………………………」
私は、正面から、イアルの澄んだ空色の瞳を見つめた。
「絶対に、生きて帰るって。私を一人にしないって」
「フィ…………………………」
「私の側に、ずっといるって!!」
その言葉に、イアルは驚いていた。
でも、すぐに微笑み、席を立った。
そして、私の涙を拭いながら、
「約束する。絶対に」
私は、安堵のせいか、イアルの手を握り、涙を流すのだった。