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- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.31 )
- 日時: 2013/07/06 21:42
- 名前: シア (ID: 0cRf5/D/)
第九話
小鳥のさえずりで、眠りから覚めた。
太陽の位置からして、いつもより少し遅い起床。
昨晩のことが原因だろうが、構っては居られない。
私は部屋着から着替え、空を飛翔していた四天竜達を招集した。
『何だ?そなたから呼び出すとは』
ジルキヴィルの声が、私の心に響いた。
私はそれをスルーする。
「イグドラシル」
『ん?』
「予知では、私が血塗れで戦場にいたわ。あれから、予知を見た?」
『いいえ。ただ………』
「ただ?」
『そなたが見たというその予知は、不吉すぎる』
そこが、私も引っかかっていた。
ここまで不吉な予知は、私でさえ見たことがなかった。
「何か解ることはある?」
『今の所は。だが、前にそなたに行った忠告が、ここ数日の間に現れる。最悪の場合、今日かもしれぬ』
「それって………」
『えぇ。あの予知に、紫の………煙がかかったわ』
予知は、見た時には特にいつ起こるかの予測は不可能。
けれど年月が経つと、もう一度その予知を見ることになる。
その時、紫の煙がかかっていれば、数日以内にその予知が起こることになる。
悪い方向にことが進んでいる…………………………。
「厄介なことが起こりそうね………」
私の呟きは、誰にも聞こえずに、天へと消えていった。
その時、扉を叩く音が聞こえた。
入ってきたのは、ユウだった。
「ユウ………」
「皇女陛下、皇帝陛下がお呼びです」
一礼をしてそう告げるユウは、この数日で、早くも仕事がいたについてきた。
ミラージュには劣るが。
「わかった。そなたは部屋の外で待っていてくれ」
「承りました」
私の言葉に嫌な顔ひとつせず、一礼し、部屋を後にするユウ。
「ビンゴ、だね」
私は微笑を浮かべた顔で、イグドラシルに向かってそう言った。
『フィーア、そなた………』
「大丈夫だよ。今回はついてこないで」
『わかった』
とうとう来た。
戦に出よ、という、正式な命が下される日が。
昨晩は、イアルと話し合い、きちんと決意を固めたはずだった。
なのに………。
なのに…………………………っ。
いざとなると、すくんでしまう。
どうしようもなく、怖くなってしまう。
自分では抑えきれないほどの恐怖が、心にはあって。
どうして。
私は、強くなんかない。
弱い。
ひどく弱い。
強いなんて言われるけれど、強くなんて、ない。
心にそんな恐怖を抱えながら、私は自室を後にした。