コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.35 )
日時: 2013/07/09 21:42
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

「皇帝陛下にお取り次ぎを」
私は、静かにそう命じた。
すると、重々しい扉が音を立てながら開き、謁見の間が露わになった。
玉座に座るのは、私の父君様。
その傍には、母君様もいる。今にも泣きそうになりながら。
「御呼びと伺い、参りました」
「そなたには、明日の朝、ここを発ってもらわねばならない」
「急ですね」
単刀直入に言ってくるとは、思いもしなかった。
あくまでも、ソフトに言ってくれるのかと期待していたが、父君様の性格を考えれば、そんなわけないのに。
「見送りは?」
「いいえ。人しれず、イアルとミラージュだけに伝え、戦場へと参ります」
「そうか………。無事に、ここに帰って来い」
「それは、お約束できません」
私の凛とした声は、謁見の間全体に響いた。
けれど、これは本当のこと。
予知が起こるか起こらないかは、まだ定かではない。
だから、曖昧な答えを言うよりかは、本当のことを言った方がいい。
その方が、私は本気で、命をかけて、戦える。
「どういう意味だ…………………………?」
父君様は、驚きを含ませた声で問うてきた。
それだけ気にかけている、ということなのだろう。
「以前、予知を見たのです。その内容は、私に関することです」
「で、見た予知とは?」
「私が戦場で、自分自身の血で血塗れになり、戦場で虫の息になっているようでした。私が見た予知は、そういう内容でした。ですから、無事に帰ってくるというお約束は、できません」
凛とした声で話す私を見るのに耐えきれなくなったのだろう。
母君様は側近の者に連れられて、謁見の間を出て行った。
「お前は、我と皇后の愛する娘だ。そんな容姿に産ませてしまい、申し訳ない」
「父君様!!!」
私は声を荒げてしまった。
父君様に謝られるとは、不本意だ。
なんせ私は…………………………。
「父君様」
私は父君様の方へ、一歩踏み出した。
「私は、この容姿を気に入っております」
その言葉に驚きを表した父君様に、私は微笑んだ。
「私は、このような容姿でも、父君様と母君様に産んでもらいました。それを恨んだり、憎んだりしたことはありません。たとえこの容姿のせいで、私が〈忌まわし姫〉と呼ばれようとも」
私は微笑みながら一礼をし、謁見の間を後にした。
これから訪れる、死の戦いに、恐怖に心を煽られながら、私は自室へと戻って行くのだった。