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- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.37 )
- 日時: 2013/07/13 22:04
- 名前: シア (ID: 0cRf5/D/)
第十話
父君様にはああ言ったものの、やはり恐ろしいものは恐ろしい。
“死”への恐怖が薄れるわけがない。
けれど、彼と共に頑張ることを誓い合い、共に生きるために戦うことを決めた。
だから、万が一の覚悟でさえできている。
私は、四天竜の背に乗り空中で戦い、彼こと、イアルは地上で戦う。
私より、彼の方が“死”への確率が高いと思う。
けれど、戦うことに決めたから、逃げ出すという愚かな行為だけは、絶対にしない。
たとえ、そのせいで自分自身の命がこの世から失われることになろうとも。
そう思っている内に、庭園への扉の前に立っていた。
イアルがここに居ると叫んで居るかのように。
意を決し合言葉を唱える。
「シャイニング・ロード」
光る道という意味は、これからの未来を暗示しているようで。
どこか、悲しく、悲痛でありながらも、確かな光の道標のような気がしてならなかった。
扉を開けると、そこには何ら変わることのない庭園の景色があった。
けれど、違っていた。
たった、一つだけ。
一つだけ違っていたのは、イアルが居たこと。
「イル………?」
私は、囁くような小さな声で言ったのに、イアルに届いていたみたいだ。
「フィ」
私を呼ぶとイアルは手招きをし、近づいて行くと、不意に抱きしめられ、キスをされた。
いつもの優しいキスではなく、激しいキス。
その熱に思考が途切れながらも、力が入らなくなっていく両足を立たせるために、必死にイアルの背に腕を回した。
私が腕に力を込めるのに比例して、イアルの抱きしめる強さ、キスの激しさが増していく。
キスの合間に弱々しく制止の声をいうも、イアルには聞こえてなかった。
数分して、キスは終わったが、抱きしめる強さは変わらなかった。
「イル………?どうしたの?」
「これから、離れ離れになるから…」
「だから、どうしたの?こんなの、イルらしくないよ…………………………?」
私の声は、小さな囁き声しか出なかったが、イアルには十分に届いていた。
「怖いんだ」
「え?」
「あんなこと言ったけど、怖いものは怖い。当たり前の感情だ。でも俺は…っ俺は…っ」
イアルの肩は、少し震えていた。
私は、ろくな言葉もかけられない。
けれど、これだけは言える。
「明日のために、これからの未来のために、生きるんでしょ?長く辛いと思うけれど、二人なら、大丈夫だよ」
その言葉に驚きを表したイアルは、すぐに微笑むとまた、より一層強い力で、私を抱きしめて来た。
それは、イアルからの返事であった。
共に、生きるということの。