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Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.42 )
日時: 2013/07/13 18:59
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

私はイアルと共に自室へと向かっていた。
その時、会いたくない人物に出くわした。
「あら、〈忌まわし姫〉」
心が歪んでいる。
こんな人が皇女だなんて、考えたくないわ。
「フィアレスイル………」
後ろに控えているイアルが一歩踏み出したが、私はそれを制した。
「何のつもり?」
「これを」
フィアレスイルがそう言うと、後ろに控えていたリーネが歩み出て来た。
その手には一輪の花があった。
「渡してあげなさい?」
「はい」
リーネは一礼し、私にその花を差し出してきた。
「その花は、キリエルワ。花言葉は?」
「知らないわ?」
「しらをきるつもりなの………?………イアル」
イアルの名を呼ぶと、一瞬にして花が真っ二つになった。
それを見て、リーネは顔面蒼白だ。
「ひっ………!」
フィアレスイルは小さく悲鳴をあげた。
けれど私にはそんな悲鳴、聞こえないことに等しい。
私は悲鳴なんて御構い無し。
「花言葉は、死。貴女の意思がその花には含まれて居るわね」
呆然とするフィアレスイルの脇を通る。
その時、私にははっきりと聞こえた。
フィアレスイルの「死ね」という言葉が。
けれど、そんなことを聞いたからといって、挫けるわけがない。
私には幼い頃から、誰からも罵声を浴びてきたのだから。
それに、私が明日行かなければいけない場所は、“死へと至る道”なのだから。


「散々だったな」
「えぇ。会うたびにあれだもの。呆れるわ」
私は自室に着くなり椅子に深く腰掛けた。
そしてため息をつく。
「毎回毎回言い争ってる時間はないのに、突っかかってくるんだもの。相手しなかったら相手しなかったで、うるさいもの。あれが妹だとは思いにくいし、まず、あの人格は皇女に向いてないでしよ」
私は一通り早口でまくし立てた。
イアルはそれに対し苦笑いを浮かべる。
「私は、皇女に相応しい姿ってどんなものか、考えたことがあるの」
私はイアルにそう語りかけ、言葉を紡いでいく。
「でも、答えなんてないの。自分自身のありのままの姿が国の民に認められて初めて、皇女として成り立つの。私はそう考えてる。そうなると私は皇女ではなく、フィアレスイルが皇女なんでしょうね」
私自身気づかなかったが、少し悲痛な感情がこもっていた。
「フィ………」
心配げな声を出すイアル。
私はそんなイアルに向かって微笑みかけた。
「私は大丈夫。明日を共に生きていくんでしょ?」
私は、この世で一番大切な人に向かって、そう語りかけた。
その言葉にイアルは微笑み、私を抱きしめにきた。
「あぁ。一緒に、明日を生きよう」
私はイアルの暖かさを感じながら、頬に一粒の涙の雫をこぼしたのだった。