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Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.43 )
日時: 2013/07/15 05:25
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

第十一話

私は、いつも起きる時間の数時間前に起きた。
ベッドの上にいた四天竜達は居ない。
周りを見渡すと窓が空いていた。
四天竜達は窓を開け、空に飛んで行ったみたいだ。
支度ができたら招集しなければ。
支度ができたならば、私は戦場にいかなければならないのだから。
そんなことを思いながら、戦闘をする時に着る服、巫女姫の名に相応しい巫女装束を着込む。
白銀の髪もいつもは結っていないが、今回は頭上で一つに結う。
支度が終わる頃に、部屋の扉がノックされた。
「入りなさい」
すると、扉が開き現れたのは、イアルだった。
「イル………」
イアルは私に微笑みかけてきた。
「支度はできたか?」
その問いに対し、私は頷く。
「あとは、四天竜達を呼ぶだけよ」
「そうか」
イアルの返答で、会話が途切れてしまった。
必死になり、私は話題を見つけようとするが、今は楽しげな話題を出す時ではない。
これから、“死”が充満する場所に行かねばならないから。
迂闊にその話題に触れれば、イアルが心配げな表情をする。
そんな表情を作らせたくはない。
「なぁ、フィ………」
「なっ、何!?」
突然名を呼ばれ、私は素っ頓狂な声をあげてしまった。
「怖いか?」
「え…………………………」
私はその言葉に、はっきりとした返事はできなかった。
この頃のイアルは、おかしく感じる。
「ど、どうしたの?イル………この頃おかしいよ…………………………」
私の言葉に、イアルは驚いている。
虚をつかれた。
そんな感じで。
「質問に答えるね?」
「あ、あぁ」
「怖いよ」
私は微笑んでそう言った。
私の言葉に対し、イアルはさほど驚きは知らなかった。
「戦場は、いつもが死と隣り合わせ。そんな場所で、生き残れるなんて思ってない。でも、生きたいの」
私が言葉を切ると、イアルが問うてきた。
「何故?」
私は、苦笑しながらイアルの元へと歩み寄った。
イアルの、澄んだ空色の瞳を見つめながら、私は言葉を紡ぐ。



「約束したでしょう?これからの未来を、共に生きるって」



イアルは、その言葉に驚きを瞳ににじませた。
「私が、どれだけその言葉に救われたか、貴方は知ってる?私、この国で生きるのに限界がきてたの。だから、戦に出て、わざと死のうって考えてたの。でも、イルから気持ちを伝えられて、混乱したの。何で?って。でも、私を必要としてくれてるって思って、気づいたの。貴方のことを、心から愛しているということを」
「フィ…………………………」
「死のうって思ってた私の心に、希望を灯してくれたのが、貴方のあの言葉。だから私は、生きることを選ぶの。貴方の傍で生きることを。だから私は、生きるんだから」
イアルは目を瞑り、もう一度開けた時、空色の瞳には、いつものイアルが戻っていた。
私は微笑み、イアルに手を差し出した。
「行こう?明日を生きるために」
苦笑しながら、イアルは自身の手を私の手に重ね、握ってきた。
手から手へと伝わる温もりは、全身へと巡っていく。
「あぁ」
頷いたイアルに今日一番の笑顔を向けて、私とイアルは部屋を後にし、庭園へと向かって行った。