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- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.52 )
- 日時: 2013/07/27 00:02
- 名前: シア (ID: 0cRf5/D/)
私は、心を煽る事実に、耐えられない。
このまま一緒に私と戦場に行けば、イアルを失いそうで怖い。
いいえ。
私は、もう、心の奥底では確信しているはず。
イアルを失うことになるということを。
それだけは。
それだけは防がなければならない。
私の。
私の最後の願い。
イアルが生きていれば、私は、それでいい。
たとえ、自分の命を犠牲にして、私が死んでしまっても、彼が生きている。
ただそれだけで。
ただそれだけで、私は私の命を捨てられる。
だから。
彼だけは生かしたい。
彼だけでも、この世で生きてほしい。
彼は彼自身の幸せを、自分の手で掴み取ってほしい。
ただ。
ただそれだけ。
だから。
私は約束を、破る。
ごめんなさい、イアル。
「ジルキヴィル、止まって」
小声でそう言うと、ジルキヴィルが止まり、後ろで飛翔していたカーディナルとイグドラシルも飛翔を止める。
異変に気づいたシュヴィルも空中にとどまり、飛翔を止め、その身体を反転させた。
「フィ?」
「シュヴィル」
イアルの呼びかけを無視し、シュヴィルに声を掛ける。
「皇宮に行きなさい」
そう言った時点で、四天竜達には、私の意図が伝わったはず。
そして、私の心も。
決意も、全てが。
だてに一緒の時を過ごしてきたわけではない。
だから。
私を止めるわけがない。
「ど、どういうことだ、フィ」
「皇宮に行きなさい!!!」
手を振りながらそう言うと、反転させた身体をそのままにして上昇する。
「フィ!?」
驚愕をにじませた声で私を呼ぶイアル。
そんな彼に微笑みを返しながら、より一層強い声で、シュヴィルに命令を下す。
「皇宮に行きなさい!!!」
もう、連れてこないで。
失いたくないから。
心でそう言いながら、私は声を張り上げた。
けれど、大切な人が隣にいないのは、とても心細くて、寂しくて。
けれど。
そんなことよりも、安心できる。
『よかったのか?』
「何でそんなことを聞くの?ジルキヴィル」
『気づいていないのか?自分が泣いているということに』
「え…………………………」
心に響いた声に従い、瞳を拭ってみると、確かに感じた。
自分の両の瞳から溢れる涙を。
「あ、あれ?どうして?」
何度拭っても拭っても、溢れる涙。
『今だけは、弱さを見せていいのではないか?そなたには、心があるのだから』
『そうよ。無理をすることはないの。そなたの感情のままに、心は動くのだから』
ジルキヴィルとイグドラシルの言葉に、カーディナルが頷いた途端、私は両手で顔を覆った。
嗚咽を漏らしながら泣き続ける私の気持ちを理解してくれている、ジルキヴィルとカーディナルとイグドラシル。
私は、感情があるがままに、涙を流し続けた。