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- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.57 )
- 日時: 2013/08/07 22:09
- 名前: 水無月 (ID: 0cRf5/D/)
「イグドラシル」
『何?』
「シュヴィルの位置は?」
『もう、こちらに着くはず』
「わかったわ」
私が切羽詰まった声で、イグドラシルにシュヴィルの位置を聞いたのは、四天竜達が揃わなければ、本来の力を振るうことが出来ないからだ。
けれど、もうすぐで追いついてくるなら問題は無い。
『もう着くぞ』
「戦場に?」
『それ以外に何がある』
ジルキヴィルは、少し楽しげだ。
元の身体で力を振るうのは久しぶりだからだろう。
「楽しむ前に、あいつを探して」
『あいつ?』
「そう、王太子よ。あと、第一王女のエーヴもよ」
『扱い雑くないか?』
「雑くなんてないわよ」
私はジルキヴィルと憎まれ口を叩きながら、命じた。
「もっと飛ばして。戦況が知りたいわ」
『解ってる』
だいぶ大きな音が聞こえるようになった。
悲鳴。
破壊音。
この二つが入り乱れる場所。
それは、即ち戦場。
その破壊音の中に、ひときわ大きなものがあった。
それは、恐るべきものだった。
私が恐れた〈超戦闘形態〉、通称〈アイドル〉。
それが地上で、上空で、火の魔法を、水の魔法を、雷の魔法を、風の魔法を、荒ぶる神の如く、魔法の雨を降らしていた。
地上には多くのヴァイシュバル皇国の騎士と、魔導師達。
国の者達を、国民達を殺したのは、一目瞭然だった。
すべて、あのエーヴの〈超戦闘形態〉がやったのだ。
「許さないっ!」
その私の言葉と共に、ジルキヴィル、カーディナル、イグドラシルが加速し始めた。
その時だった。
「っ!」
何かが私の頬を掠めた。
それを撃った相手も、撃った物も、全てが解った。
その者は私の目の前に居たのだから。
「………スティール………」
「覚えててくれたか」
「さっき会ったばかりでしょう?」
「それもそうだな」
笑いながらそう言うスティール。
余裕すら感じる。
「何が目的なの?」
「あ?」
「国を、どうして攻めるの?何が目的なの?」
「いちいち聞かれてもたまんねぇ。答えてやるよ」
そう言うと、彼は私を指差した。
嫌な予感しかしない。
その予感は的中した。
最悪な形で。
「お前を俺の妃、即ちお前を王太子妃にすることだ」
その言葉に、私は呆然とした。
たった、たったそんなことだけに戦をしかけたのかと。
けれど、指差した時から、解っていたのかもしれない。
こう言われることを。
心に響くジルキヴィル、カーディナル、イグドラシルの声も、私の心には聞こえない。
私は、どうすればいいのかも解らないまま、私はスティールの言葉を認めたくなくて、無数の魔方陣を、あたりに展開させた。
全て、スティールに向けて。