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- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.61 )
- 日時: 2013/08/06 05:56
- 名前: シア (ID: 0cRf5/D/)
私は、あれからどうなったかを知らない。
あれからどのくらいの時が経ったのかということも。
今現在、私は何故か自室のベッドの上で横たわってる。
身体がいうことを聞いてくれないため、身体を起こすことさえ困難になっている。
けれど、一つだけ解ることがある。
私は、もう自由にはなれない。
これまで以上に、自由がなくなる。
…………………………あの人。
スティールの妃になるなんてこと。
そんな大事なことをどうして忘れていたのだろう。
忘れていなければ、戦が起こることも、無駄な犠牲を出さずに済んだのに。
「………っ!っく………」
私からは、いつしか嗚咽が漏れ出ていた。
たった、私一人のためだけに起こされた戦。
そんなことを考えていた時だった。
自室の扉が開き、誰かが入ってきた。
私は何とか首だけを動かし、相手の顔を見る。
それは、ミラージュだった。
「フィーア皇女陛下!」
ミラージュは私が起きているのに気がつくと、扉から走ってきた。
「ミラージュ………」
「御気分は大丈夫ですか!?」
「えぇ………。それより、私はどうしてここにいるの?私が出立した日からどれくらいの時が経ったの?」
まくしたてる私に向かってミラージュは微笑みかけ、ベッドの近くに置いてある椅子に座った。
「順に答えましょうか」
ミラージュは少し間を開けてから話し出した。
「皇女陛下は覚えてはないでしょうが、敵国の王太子と対話した後、貴女様は涙を流しながら自分自身に向けて魔方陣を展開させ、それを撃ったそうです。何度も、何度も」
あの後のことを語るミラージュには、先程まであった微笑みはなかった。
どこか、悲しげで、儚かった。
今にも涙を流しそうで怖かった。
「そして、今日は皇女陛下が出立した日から、もう一週間が経ちます」
「一週間!?」
「はい。皇女陛下が大怪我を負いながらもまだ魔方陣を展開させるので、四天竜達が必死になって止め、皇女陛下を連れて戻ってきてからそれだけの時間が経っております。皇帝陛下も皇后陛下もとても心配をしておられました。とても酷かったので」
「そんなに………」
「お目覚めになられたら、直ぐに謁見の間に来るようにと皇帝陛下からの御命令がありましたが、明日になさりますか?」
いたわるような声に私は苦笑した。
「私は大丈夫。だから、用意ができたら会いにいきましょう」
「解りました」
そう言うと椅子から腰を浮かせ、ミラージュは扉に向かっていく。
「ミラージュ」
私は、それを引き止めた。
「はい、何でしょう?」
「まだ動くのは大変だから、誰かに言伝を頼んだら、手伝ってくれる?」
私の言葉にミラージュは、微笑みながら頷いてくれた。
その優しさに、私はミラージュから目を離し、ベッドの上で、ミラージュが来るまで、泣き続けた。