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Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.64 )
日時: 2013/08/09 21:27
名前: シア (ID: 0cRf5/D/)

第十五話

起き上がるのも大変で、謁見の間に着くまでとてもな時間を使った。
「ごめんなさい、ミラージュ」
「はい?何故………そんなことを」
今現在、私とミラージュは謁見の間の前で、扉が開くのを待っている。
謁見の間の中では、兵士が父君様に取り付いでいる所だろう。
「貴女には、幼い頃から世話になって、迷惑をかけてばかり………。こんな駄目な主に仕えて、貴女は迷惑したでしょう?」
そう言いながら首を動かし後ろを向くと、驚きに満ちた表情をしているミラージュが立っていた。
私はその顔を申し訳なさそうに見つめた。
すると、ミラージュが私に微笑みかけて、口を開いた。
「私は、貴女様の傍付になって後悔なんてしていません。ましてや、迷惑などと。私は貴女様に仕えられることを誇りに思っています」
私はその答えに驚き、目を見開いた。
けれど、ミラージュらしい答えだなと思い、私は微笑んだ。
その時、謁見の間の扉が重々しい音を立てながら開いた。
その音を聞きながら、私とミラージュは笑みを消し、正面を向き、歩いて行く。
そして、謁見の間の中央に来ると、扉が重々しい音を立てながら閉まり、皇帝である父君様が人払いをする。
人が全員出て行くのを確認した父君様は、やっと口を開く。
「傷は癒えたか?」
「はい。もう傷はございません」
「そうか」
簡素な答えだが、それでも父君様の瞳からは不安が消え、安堵がある。
けれど、母君様の姿が見えないことが気がかりでならない。
私は意を決し、父君様に聞く。
「あの、父君様」
「なんだ?」
「母君様は、何処に?」
「ああ、皇后は………今床に伏せっている」
その言葉に、私は言葉を失った。
いつも、私に優しかった母君様。
いつも、心配をしてくれていた母君様。
どうして…………………………。
「どうして………」
「お前が此処から立った日から、皇后は食事を一切摂っていなかったのだ。お前が大怪我を負い皇宮に帰ってきたその姿を見て卒倒したのだ。お前の無事を知ると、また眠りに着いた。まだ起きてはおらぬだろうが」
「そうですか」
私は詰めていた息を吐いた。
母君様にもしものことがあればと、とても怖かった。
だが、私のそんな様子を見ると、父君様は顔から微笑みを消し、私を真正面から見据えた。
その顔を見たとたん、私からも笑みが消えた。
そして、父君様は口を開く。
「お前は、あの国で過ごして良いのか?」
「お祖父様が決めらしたことです。私は構いません」
そう言い終えると、私は微笑んだ。
たとえ、この決断が大切な人を傷つけるとしても、大切な人を守るためなら、私が犠牲になればいい。
私がいなくなり、彼が私を忘れ、想いが届かなくなっても、私は彼のために自らを犠牲にする。
どんな不幸が襲ってきても。