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- Re: 白銀の巫女姫 【オリキャラ募集中!!】 ( No.65 )
- 日時: 2013/08/13 17:21
- 名前: シア (ID: 0cRf5/D/)
私はミラージュと謁見の間をあとにした。
あの後少しだけ談笑が続いたが、私は早々に退室した。
身体が限界に近かったからだ。
それに、母君様の傍に父君様が行きたそうにしていたという理由もある。
けれどそれ以前に、今現在私の身体を支えてくれるミラージュが、父君様と謁見の間で談笑をしていると、私のドレスを引っ張ってきたからだ。
父君様には見えないように。
未だに、彼女の真意が掴めない。
そんなことを考えている時だった。
「皇女陛下」
不意に、ミラージュが私を呼ぶ。
「イアルには、本当に何も言わないつもりなんですか?」
「………」
私は何も答えなかった。
それはミラージュの問いに対し、肯定しているようなものだ。
そう。
イアルは知らないのだ。
私が敵国であるフェブロニア王国に嫁ぐことを。
その約束があったことも。
何も知らない。
知っているのは、父君様、ミラージュの二人だけ。
父君様にも、ミラージュにも、イアルには言わないように口止めをしたのだ。
そのことを心配してくれるのは、私にはよくわかっていた。
幼き頃からずっと一緒に居た幼馴染のことだから。
「彼には、教えたくない。自分の心が壊れたとしても、私には私の務めがあるから」
微笑みながらそう言うと、ミラージュは悲しい顔をした。
そんな時だった。
最悪だと、私は思った。
目の前にはイアルがいた。
今一番会いたくない人物。
「フィーア皇女陛下!」
私に気づくと、走ってこちらに向かって来る。
本当に最悪だ。
「大丈夫なんですか?」
「ええ」
私は微笑んで答えた。
すると、ミラージュがイアルを呼んだ。
「イアル」
「ん?」
「皇女陛下を運んであげて?もう歩くのも大変になってきているから」
「ああ」
え……………………………………………………。
私はミラージュの言葉に思考が停止したが、すぐに再開した。
なんせイアルが私を横抱きにしたからだ。
いわゆる、お姫様抱っこ。
「イ、イアル!?」
私が慌てると、イアルは私の耳元で囁く。
「大人しくしてろ。さもないと………」
「さ、さもないと………?」
イアルが小声で言うため、私もついつい小声になる。
「………キス………するぞ?」
何を言っているんだこの人は!!
ミラージュがたとえ私とイアルが付き合っていると知っているとはいえ、恥ずかしすぎる!!
と、そんな時に助け舟が出た。
「ちょっと、イアル」
「何だ?」
「フィとイチャつきたいのは解るけど、此処ではやめて」
「はいはい」
ありがとう、ミラージュ。
そんなこんなで、私をお姫様抱っこしたまま、イアルは歩み始めた。
イアルを見ると、拗ねた顔をしていた。
その顔に私は少し笑ってしまった。
そのことにイアルは気づいてないみたいだが。
けれど、これからはこんな他愛ないことで、言葉を交わすことがもうできなくなると思えば、心が悲しみに苛まれることは、誰にも言えない。