コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: kiss or friend 〜ラベンダーのクチヅケ〜 ( No.117 )
日時: 2014/03/15 20:41
名前: チャルトン (ID: k7pNoPCO)

第5話 うつりゆく“風”が最後に残すのはある意味絡まった絆だった



「ゴホンッ……ゴホッ」

うぅ…だるい……

私は今自分の部屋のベットで布団にくるまっている。


「頭いたい…」

永輝の風邪がうつってしまった。

まあ、人にうつせば風邪は治るとか治らないとか聞いたことあるからこれで永輝の風邪が治ってるならいいんだけど…。


風邪ひいてるときってやけに寂しく感じてしまう。
お母さんは近くのパートで仕事をしていていないし、父は今単身赴任中で家にいない。

つまり、今私は家にひとりなのだ。


布団の中って幸せだけど……

暇。


そんなとき頭に浮かぶのが永輝の顔だった。

永輝……元気かな。


昨日あったばかりなのに考えてしまう。

風邪が治ればまた嫌でも会えるのに…

いや、でも、なにがあるかわからない。

もしかしたら永輝のマンションが火事で全焼してしまうかもしれない。
不注意で包丁を胸に刺してしまうかもしれない。いや、誰かの恨みをかって刺されるかもしれない。
殺されてしまうかもしれない。

事故に…あってしまうかもしれない。

そんな縁起の悪いことが頭をよぎる。

人生、いつなにがおきるかわからない。


“あれから”よく考えてしまう。

私の悪い癖、だ。


もう考えるのはやめようと私は目を閉じた。

Re: kiss or friend 〜ラベンダーのクチヅケ〜 ( No.118 )
日時: 2013/12/29 15:53
名前: チャルトン (ID: FX8aUA2f)


ラベンダーだらけの野原で私は目を覚ました。

いちめん紫で少し風が吹いて花びらが舞っている。

そんな花びらの中から人影が……

「だ、誰?」

おそるおそる尋ねる。
その人影は私に背を向けて立っていて……

ゆっくりと私の方を向く……


「……っ!!」

私は目を見張ることしかできなかった。



「……里桜…!」

なんで…ここに?

里桜は私をみてにこりと笑った。

あの…懐かしい笑顔……


一粒の涙が私の頬を伝う。

その涙は風に流され里桜のもとへ……


変わってない。なに一つ変わってない。

あの日…別れたときからなにも変わってない。


少し幼さがある顔。
立っているときにポケットに手をいれる癖。
少し茶色がかったさらさらの髪。


けれど、私がまばたきをするとそこに里桜はいなかった。

まるで、なにもなかったかのように……。


そして、気づくと私の足元にはぽっかりと穴が開いている。

落ちるっ!!

理解すると同時にだんだんと落ちてゆく……





ハッ!!
目を開けると見覚えのある天井。


「おはよう。」

「っえ!?」


私のベットの横にはいるはずのない…

「なんで永輝が…」

スッ

永輝が私の頬に手を伸ばす…


な、なに?

「また泣いてる。」

そう言って涙で濡れてる私の頬を触った。

Re: kiss or friend 〜ラベンダーのクチヅケ〜 ( No.119 )
日時: 2013/12/30 19:36
名前: チャルトン (ID: /B3FYnni)


嘘…なんで泣いてるの?

「おまえ、よく寝ながら泣いてるよな。」

クスリと笑いながら言う永輝。

私はいまだに現状についていけてない。

「まだ熱いな。薬のんだか?」

頬をさわりながら永輝は私に尋ねる。

「やけに静かだな。そんなにビックリしたか?」

「…あ、いや…うん。」

ヤバい。嬉しい。

永輝がいるなんて…

顔がにやけてしまう。

「先生がよ、おまえのお見舞いに行ったから辻久保は風邪をひいたとか言われてさ。見舞いに行けって言われて来た。」

先生…いいとこあるじゃないですか!

「ま、先生に言われなくても来たけどな。」

ドキッ

顔が赤くなる。
熱でもとから赤いけど。

「バカは風邪をひかないって言うけど…違ったな。」

カチン

「なにそれ、どういう事よ?」

クスッ
「そのまんまだけど?」

さっきのトキメキを返してほしいよ。

まったく…。

「バカに言われたくないし!」

「あー、はいはい。ごめんって。」

いや、そんなに怒ってないけど。
冗談なんだけど。

「俺思ったんだけどさー、」

「なにを?」

「実衣菜に俺の風邪がうつったのってキスしたからだよな。」


「ブフォッ」

な、ななな!?
「なに言って…!!」


「だからさ、もう一回キスしよっか。」


「はっ?!なんでそうなるの!」

なにを言ってんの、こいつは!!

「一度風邪をひいた人にはうつらないって言うし。ま、もしうつってもまた実衣菜にうつせばいいし。」

そ、それはまたキスをするって…こと?

そんなことを考えてるうちに永輝はどんどん近づいてくる。

「ちょ…ちょっと待っ…!」


最後まで言い終わらないうちに塞がる唇。

もう何度したかわからない永輝とのキス。


やっぱり、ラベンダーの香りがする。


永輝はどんな気持ちで私にキスをしてるの?




私と永輝の関係は……なに?