コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: kiss or friend 〜ラベンダーのクチヅケ〜 ( No.140 )
日時: 2014/01/19 22:13
名前: チャルトン (ID: 5Iu.5lPh)



昼休み

私は永輝と屋上にいた。

愛奈と上村くんが一緒に弁当を食べるのかはわからないけど、愛奈は私と弁当を食べようとはしなかった。

だから、上村くんと食べるのだろう。

……たぶん。

「なぁ、実衣菜。」

「ん?なに?」

呼ばれて永輝の方を向く。

「空って……なんでこんなに青いんだろうな。」


「……え?どうしたの、急に。」

驚いた。

永輝がこんなこと言い出すなんて。
そんながらじゃないから。

「や、俺たちってちっぽけな存在だよなって思って。」

「ちっぽけ??」

「何人もいるこんな広い世界のちっぽけな存在……。」

永輝は空を見つめたまま言う。

「きっと、誰か一人死んだとしても他人からしたらどうでもいいことで、その事を知りもしないで生きてるヤツもいて…」

一呼吸おいて永輝は目を閉じて言った。


「今、こうして話してる間にも死んだ人がいるんだろうな」



「…っ…!」

永輝の目からは涙が一筋流れていた。

その涙はとても綺麗で……


青い空が反射して輝いていた。


「他人が死んでも、自分の生きてく道に害はなくて。けど、知ってる人…もし、それが身近な人なら……」

永輝は気づいているのだろうか?

自分が涙を流しているということを。

自分の涙がとても綺麗だということを。



「……俺はおまえと出会えて嬉しい。心から神に感謝してる。」




その言葉を言われたとき、私の涙腺は崩壊した。

何度も何度もこぼれ落ちる涙。

「…っ…ぅう……」

永輝の言葉は直球で。

永輝はその言葉を言ってから神なんているか知らないけどな、と笑った。

Re: kiss or friend 〜ラベンダーのクチヅケ〜 ( No.141 )
日時: 2014/01/21 22:16
名前: チャルトン (ID: HDoKOx/N)



本当……急にどうしたの?

「なんで泣くんだよ」

「……っ、だって……っ」


止まらない……

涙が止まらない


永輝がとても嬉しいことを言ってくれたから…


それもあるのだけれど、永輝の思っていること…“ちっぽけな存在”

それと同じことを前、私も思ったことがあった。



「……私も、永輝に出会えて…………幸せ…!」

目を見開く永輝。

私の目からは涙がまだこぼれ落ちている。

「…だから、もう少しだけまって……」

私の永輝に対する想いを伝えるのはまだダメだ。

けじめを……つけなくちゃ。


「……ん、おまえが望むならいくらでもまってやる。」

ぽんぽん、と私の頭を叩く永輝。

まるで、泣いてる子供を癒すような感じで。



バッ

「どうした?」

私が急に立ち上がったから永輝が目を見開く。

「今から、けじめつけてくる!」


「…は?」

なに言ってんだ、と永輝は顔をしかめる。

「先に戻るね!」

私はそう言って屋上から出た。




「…けじめって、なんだよ?」

一人残された永輝は誰もいない屋上でポツリと呟いた。

Re: kiss or friend 〜ラベンダーのクチヅケ〜 ( No.142 )
日時: 2014/01/27 00:21
名前: チャルトン (ID: Z6QTFmvl)


昼休みなのに人が廊下にあまりいないことに驚いた。

私は慶ちゃんのクラスに向かっている。

渡り廊下を歩いていると、ふと気づく。



「上村…くん?」

渡り廊下のとなりは庭のように緑の芝生が敷かれている。

そこに、上村くんらしき人がこちらに背を向けて一人で座っていた。


その背中はなんだか………


「……上村くんっ!」

私は上村くんに聞こえるくらいの声で呼び掛ける。

上村くんは振り向き、一瞬目を見開いた後、にこりと笑った。


「なにやってるの?」

私は上村くんに近づいてゆく。

本当は上履きで庭に出てちゃダメなのだけれど、それを守っている人は少ない。


「うーん…ちょっと考え事を……ね。」

困ったように笑う上村くん。

「えっ…と……愛奈とは一緒じゃないの?」

「……え…」

上村くんは私の言葉に目を見開き、驚いている。

私、今変なこと言ったっけ…?


「そっか…。そういえば愛奈と辻久保はあまり恋愛の話はしないんだったね。」

「う、うん…。」

今は恋愛の話じゃなくてもあまり話していないのだけれど。

なんか、愛奈にはあまり今までどおり接せない。

どうしてこうなってしまったのだろう。



「俺と愛奈、別れたんだよ。」



+++++++++++++++++++++++++++++



「おーぐーらーくんっ!なに見てるの?」

愛奈が屋上から下を見下ろしている永輝に近づく。

愛奈は自分も永輝の見ている方に視線をあわせ、永輝の見ているものがなにかわかると、ニヤリと笑った。


「上村くんと実衣菜じゃん!二人でなに話してるのかな?」

「知らねーよ」

永輝は愛奈に冷たく返す。

「つーか、なんでテメーがここにいんだよ?」


「んー?ちょっと風に当たりたくってね♪そしたら小倉くんがいるんだもん。ビックリしたよー!」


「・・・・」

「上村くんと実衣菜、なんか仲良さそうに話してるね!」

愛奈はチラッと永輝の方を見る。


永輝はずっと二人の姿をじっと見ていた。


「これは、もしかして二人できちゃうんじゃない?!」


「…さぁな」


永輝はそう言って屋上から出て行こうとした。


「待って!」

愛奈は永輝を呼び止めるが、永輝に止まる気配はない。


愛奈は顔を歪め、永輝の背中を睨む。


そして、口角を上げてこう言った。




「里桜って知ってる?」


ピタッ

永輝は愛奈に背を向けたまま止まる。

それを見て愛奈の口角はさらに上がった。



「教えてあげよっか?」