コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: kiss or friend 〜ラベンダーのクチヅケ〜 ( No.158 )
日時: 2014/02/23 14:34
名前: チャルトン (ID: FX8aUA2f)




2年B組と書かれているのを確認し、私は教室のドアを開けた。

「慶ちゃん!!」

皆が一斉に私の方を向いたので少し恥ずかしくなった。

「あれ?実衣菜どうしたの?」

慶ちゃんはそう言いながらこっちに歩いてくる。

「あ…ちょっと話が…」

みんなからの視線を感じる。
私は少し俯きながら言った。

「…ん、わかった。じゃあ、行こっか。」

慶ちゃんは私の雰囲気で察したのか、そう言ってひとけの無い所へ向かった。




「よし、ここなら人の目を気にしなくていいよね」

着いた場所は踊り場だった。

「実衣菜が俺のクラスに来るなんて初めてでビックリしちゃったよ」

はははと笑う慶ちゃん。

「んで、話って何ー?」

「えっと、ね…」

あれ…なんか緊張してきた。

「あのさ…慶ちゃんのこ、告白のことなんだけど…」

スッと慶ちゃんは人差し指を私の唇に当てた。

……え?

「わかってるよ」

慶ちゃんは笑いながら、でも少し哀しそうにそう言った。


「実衣菜が話があるって言った時からだいたい予想はできてた。」

うそ…わかってたの…?

「でもさ、まさか泣くなんてさぁー」

「へ…?」

私は自分の頬を触り、濡れていることに気づいた。

「えぇぇえ!?」

嘘?!私、泣いてる?!!

「な、なんで…」

「え、気付いてなかったの?」

慶ちゃんは目を丸くして、すげーと笑った。

「俺泣かれるほど嫌われてんだなって思ったからツラくてさ…ははは」

「え?!嫌ってないよ!!」

嫌ってない…
嫌ってる筈ない。


もっと早く慶ちゃんに返事してあげれば良かったかもしれない。

きっと、不安になってたはずだ。


でも、それができなかったのは……


「フッたら慶ちゃんが私と話してくれなくなるかと思った」


「え?」

「だって慶ちゃん、前そうだったでしょ?中2の時。あれから、全然話してくれなくなった!だから、遊園地の帰りの時、話しかけてくれて嬉しかった…。」

「……ごめん。」

慶ちゃんはバツが悪そうに下を向いた。

「だから、前の幼なじみに戻りたい…!」

私は自分の気持ちをしっかりと伝えた。

昔みたいに戻りたかった。


「それは無理だよ。」

「え…」

「だって俺はもう実衣菜のことただの幼なじみだなんて思えない」

慶ちゃんはすっぽりと私を抱きしめた。



「……でも、実衣菜がそれを望むなら…俺は実衣菜の幼なじみのままでいるよ」

私はその言葉に驚き、慶ちゃんを見上げる。

「最後に聞きたいんだけどさ、実衣菜は小倉永輝のことが好きなんだよね?」

な、なんで知って…!?

「なんでって顔してるね。俺はずっと実衣菜のこと好きだったんだよ?わかんないわけ無いじゃん」

好きなんだよね?と慶ちゃんはもう一度聞いてきた。



「…………うん。好きだよ」

私は自分でもわかるくらい真っ赤になってそう答えた。

Re: kiss or friend 〜ラベンダーのクチヅケ〜 ( No.159 )
日時: 2014/03/09 02:36
名前: チャルトン (ID: kcj49vWg)


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「教えてあげよっか?」

愛奈は背後でそう言った。


“里桜”

実衣菜の幼なじみが何回か口にしていた名前…

きっと、実衣菜と“なにか”あったに違いない

「ねぇ、聞いてる?」

愛奈は俺に近づいてくる。

コツコツ…

知りたくない、そう言ったら嘘になる。

コツコツ…

けど……


「……べつに。興味ねーよ。そんな奴」

俺はそう言って出口に向かった。


それに比べてピタリと止まる愛奈の足。


「なによ…それ……」

小さくそう呟いた愛奈だけど、やけに静かなこの場所ではしっかりと俺の耳に届いていた。


「知りたくないって言うの!?」


今度は俺に怒鳴る愛奈。



「・・・・」

俺は何も言わず、屋上をあとにした。

バタン


「……っざけんな!マジ調子狂うっての!!」

誰もいなくなった屋上で、愛奈は頭を掻きながら叫んだ。






“里桜”

気になる。知りたい。コイツについて知りたい。

けど、愛奈から聞くのはなんか違う。

絶対に違うと思う。


どうせ聞くなら…実衣菜に直接聞こう。

気になることがあったら本人に直接聞いた方が絶対にいい。


実衣菜が“里桜”について教えてくれるかはわかんねーけど。


その時は…その時だ。