コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.2 )
日時: 2013/07/07 17:56
名前: チャルトン (ID: tVNOFy45)

第1話 桜とともに私に舞い降りた恋は儚く散った


タンッタンッタンッ


歩道にある石の上を落ちないようにリズムよく歩く、君。


クスッ
「元気だね?」


その姿が微笑ましくて私は笑いながらそう言った。


彼は石の上から降りて私のとなりに並ぶ。

そして、私の手を取りぎゅっと握った。



「まぁね。」

そう言って私の手を引いて歩き出す。


“幸せ”

こういうときをそう呼ぶのだろう。





大好きだよ、里桜。

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.3 )
日時: 2013/06/28 23:57
名前: チャルトン (ID: a0p/ia.h)



「…っ…辻久保!」

ハッ

「大丈夫か?」

あれ…?私、寝てたの?


「おーい。聞いてるか?」

我に返ったときにはきれいな顔が目の前にあった。


ガタタンッ

イスから転げ落ちる私。

なっ!?近っ!

背中を強く打ってしまった。


「そんなに拒絶しなくてもいいじゃん。
けっこう、傷ついたんですけど。」


眉毛をハの字にして笑いながら言う彼をみて、私は少しほほを染めながら

「…ごめん。」

と俯きながら言った。


顔が、見れないよ…。


「あ、そうそう。どんな夢見てたの?」

どんな夢って…




「泣いてたよ?」

え?

目元を触ってみる。


ほんとだ、ぬれてる……。

「怖い夢でもみた?」



あれは…あの夢は……


…夢?

あれは夢なの?

違う。


あれは

懐かしい思い出


Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.4 )
日時: 2013/07/01 21:15
名前: チャルトン (ID: tVNOFy45)



「まあ、なんかあったら相談とかのるからな」

そう言って私の頭をよしよしする彼。

ドキン

私はまた俯く。

彼はどれだけ私をドキドキさせれば気がすむのだろう。


私の気も、知らないで。


私、辻久保 実衣菜ツジクボミイナは高校一年。

入学してすぐに優しくてカッコいい彼、上村 光太郎ウエムラコウタロウを好きになった。


でも、彼は……

「あのさ、辻久保。愛奈は?どこ行ったの?」

ドクン

「え、…と……愛奈は…」


「実衣菜っーー!」

元気で、少し高めの声が響く。

「あ、愛奈!」

上村くんは彼女に反応する。


そう。彼は

「あれ?上村くんもいるじゃん!」


私の中学からの友達、石橋 愛奈イシハシマナのことが好きなんだ。

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.5 )
日時: 2013/07/02 00:02
名前: チャルトン (ID: qiixeAEj)



はじめは、上村くんを見ているだけだった。

それだけで十分だった。


だけど、入学してちょっとたってから話しかけてくれるようになった。

嬉しくて、緊張して…

まともに顔は見れなかったけど幸せだった。


でもそれは、私に話しかけたんじゃなくて、愛奈といつも一緒にいる私を利用して自分が愛奈と話せるようにした、上村くんの考えだった。


考えてみればすぐにわかることだった。

かわいくて男女問わずモテモテの愛奈と人見知りで凡人の私、どちらを好きになるかと言えばもちろん愛奈の方だ。


中学の頃も愛奈は何人もの男に呼び出されたのを覚えている。

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.6 )
日時: 2013/07/07 00:11
名前: チャルトン (ID: qiixeAEj)



けれど

誰かと付き合ってる とか、そういうのを聞いたことが

ない


愛奈とは恋愛の話をしない


だけど、一度だけ…


一度だけ中学の時に聞いたことがある



「愛奈は、好きな子とかいないの?」




愛奈は、今までに見たことないくらいの笑顔を見せた



それ以降恋愛の話をしていない


私はどこかでホッとしていたんだ


上村くんが好きになったのが

愛奈でよかった って…


告られてもフってしまう愛奈でよかった、誰とも付き合わない愛奈でよかった…… って





だから、思いもしなかった




放課後

帰ろうとしたら急に愛奈に呼び止められた


…隣には、上村くん






「私と上村くん、付き合うことにしたの。」




Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.7 )
日時: 2013/07/07 15:56
名前: チャルトン (ID: tVNOFy45)



「……え…?う、そ…?」


衝撃の言葉に声が裏返る。


「なんで嘘なんてつかなきゃいけないの〜?本当だよ?」


愛奈は笑いながらそう言った。



「でも……だって、今までは…っ」


「今まで?あー、それは別に相手のことどうも想ってなかったし…。」


「じ…じゃあ、上村くんのこと好き…ってこと?」





「あたりまえじゃん。好きだよ?」


ドクン

その時の愛奈の表情は “あのとき” と同じで、見たことないくらいの笑みを見せた。