コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.37 )
日時: 2013/07/24 23:09
名前: チャルトン (ID: tVNOFy45)



パシッ

「え?」

永輝に触っていた手を掴まれた。

「あんまり俺に触んな。」

「な…!!」

なによ、それ…

「さ、さっきまではわたしに普通に触ってたし、き、キスだってそっちからしてきたくせにっ!」

私、なに言ってんだろ…

これじゃ、まるで…

くすっ
「まるで、俺のことが好きみたいな言い方だな」

ち、違っ!!

「ま、俺としてはそっちの方がいいんだけどな」

永輝…なんかいつもと違うくない…?

「永輝、キャラ変わった?」

私が急にそう言ったからだろうか?

永輝は笑いだした。

「まぁ、おまえの前だからな。好きなヤツの前だと余裕こいてらんねーし!」

まだ笑いながらそう言う永輝はいつものクールで無愛想な姿が想像できないくらい無邪気だった。

「さっきから、好き好き言い過ぎ!」

私が真っ赤になりながらそう言ったときの永輝の顔は言いようもないくらい嬉しそうな顔で…


って、今の言葉なしなし!!

めっちゃナルシスト発言じゃん!

もーやだぁ!!

バンッ

私はその場から…屋上から逃げ出した。

「かわいいなぁ、実衣菜は。」

私のいなくなった屋上で永輝はそう呟いていた。

「本当、俺キャラ変わってるし。」

やっぱ、実衣菜を前にするとダメだな俺。

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.38 )
日時: 2013/07/25 19:13
名前: チャルトン (ID: tVNOFy45)


あー、もう!

ガラッ

私は教室のドアを開ける。

そこには、みんなが真面目に授業を受ける姿があって。

「辻久保!もう授業はとっくの昔に始まってるぞ!堂々とサボりやがって!」


忘れていた。今は授業中だった。

「ん?小倉は一緒じゃないのか。てっきり二人で仲良くサボってるのかと思ったんだが。」


「あ、あんなヤツ知りませんよっ」


「えー、それはひどいなー」

背後から棒読みでだらけたような声が聞こえる。

「小倉!」

先生が私の後ろのアイツに言う。

いつのまに…

「やっぱり二人でサボってたじゃないか!まったく、授業をサボってまでラブラブするな!」

さっきまで静かだった教室中が笑いの渦にのみ込まれる。

「ら、ラブラブなんてっ!」

キスをしたときのことが頭をよぎる。

なんで思い出すの!
きえろ、きえろっー!

私は頭をふって考えないようにする。

「まぁ、いい。授業再開するから早く席につけ!」

自分の席に向かうとき、みんなにクスクス笑われていた。

は、恥ずかしい。
もう、最悪だ!




少ししたら、私の席に手紙が届いた。

授業中、暇なときにやるアレだ。


それは手紙と言うよりただの紙切れをおっただけで。

実衣菜へ

愛奈より

と書いてあった。

私は愛奈の席の方を向く。

愛奈はこっちを見てウインクした。

なにが書いてあるのだろう。


“今日、一緒に帰ろ?”

……それだけ?

そんなの、帰りに言えばいいのに。

ん?まだ続きがある。



“PS,相談があるの”

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.39 )
日時: 2013/07/25 22:43
名前: チャルトン (ID: tVNOFy45)


放課後。
愛奈が私の方にやって来る。

「一緒に帰ろ?」

眉毛をハの字にし、首をかしげて愛奈は言った。

こういう、女らしくて可愛いところが男たちは好きなんだろう。

女の私でも可愛いと思うくらいなんだから。


「うん。帰ろ」

私はそう言って愛奈と一緒に教室を出た。

するとさっそく愛奈が話し出した。

「ねぇ、今日のお昼小倉くんとどんな感じだったの?授業もサボってたしさ!気になってたんだよ」

き、急にその話か!

「べ、別になにもなかったよ!普通にご飯食べて、世間話してって言う…。」

キスのことなんか言えないよ!

「えぇ、なんだぁ。つまんない」

頬を膨らませて言う愛奈を見て、やっぱり可愛いなと思った。

私もこういうとこ、見習った方がいいのかな…。


それからは普通の世間話で気づいたら愛奈の家がもうすぐそこにあった。

「愛奈、相談ってなに?」

愛奈はいっこうに話す気配がなかったから私から切り出した。

「あ…。あのさ、今日のお昼上村くんと話してて、デートすることになったんだけど…」

ズキンッ

……やだ。
また胸が痛む…。

「まだ付き合って少ししか経ってないし、恥ずかしいから実衣菜も一緒に来てほしいの!」

え……

そんなの
「私、ふ、二人の邪魔じゃん…!」

しかも、上村くんと愛奈のデートなんて見たくないよ…

「そう言うと思って、小倉くんにも来てもらおうと思うの。」

え、永輝…?

「永輝はたぶん行かないと思うんだけど…」

そう言った瞬間だった。

〜♪

今人気のジャニーズの曲がかかる。

愛奈の携帯だ。

「あ、上村くんから電話だ」

え?

「もしもし?……うん。………ちょうど今その話をしてたの。…え?……うん。……………わかった。」

愛奈は耳から携帯を離して

「小倉くん、実衣菜が行くなら行くって。実衣菜行かない?行こうよ!」

えええ!
なんで私が行くなら行くなんて言ったのよ、あのバカ!

「お願い!」

愛奈がこんなにお願いすること滅多にないしな…

「…わかった。行くよ」

「やった!!」

愛奈はそう言うと携帯をまた耳に当て
「実衣菜、行くって!……うん!オッケー、わかった。……うん。じゃあね、バイバイ!」

行くことに、なっちゃった…。

まぁ、自分から行くっていったんだけどさ…。

「じゃあ、土曜日!9時に遊園地ね!バイバイ、実衣菜!」

愛奈はそう言って家に入っていく。




はあ……。

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.40 )
日時: 2013/07/26 18:48
名前: チャルトン (ID: tVNOFy45)



来るな来るなと思っている日ほど早くやって来るもので。

今日は地獄の土曜日。


……って、なんで私の部屋はこんなに服でいっぱいになってるんだろう?

9時まであと30分。
ヤバイ。これはヤバイ。

どうせなら、おしゃれしていきたいじゃん…?

上村くんもいるんだし…。

って!そんなこと考えてる暇じゃないんだって!
どうしよう、どうしよう!!

あっーー、もう!!


*****

「あ、実衣菜!おそーい!!」

遊園地にはすでに上村くんと愛奈がいた。

「服かわいいー!」

ま、まあ、考えて考え抜いたんでね。
私の服のなかでは一番といっていいほど……って!

「あれ、永輝は?」

現在の時刻9時10分。

アイツはいない。

まさかドタキャンとかしないよね?
私が行くなら行くって言ったくらいだし?

早く来いよバカヤロー!
私、今KYなんだけど…!

「楽しみだね♪」

「ああ、何から乗ろうか?……あ、辻久保は何から乗りたい?」

あ、忘れてた。
コイツがいるの。

みたいな言い方やめて…!わかってますから!自分がKYなことくらいわかってますから!

「そんなところで話してねーで早く行かねーのかよ?」

なっ……永輝?!

「あんたを待ってたの!早くいかねーのかよじゃない!誰のせいだと…!」

てゆーか、いつのまに来てたのよ!

「小倉くん!遅すぎ!遅刻したお詫びにみんなになんかおごってよね!」

「はあ?なんでだよ。たったの20分じゃねーか。」

「20分もなの!」


また始まったよ…言い合い。

Re: しょうがないから忘れてあげる ( No.41 )
日時: 2013/07/27 12:05
名前: チャルトン (ID: tVNOFy45)



「じゃあ、何から乗る?!やっぱジェットコースター?!ジェットコースターだよね!」

愛奈はテンションが上がってるのか、今にでも走り出しそうだ。

「うるせぇなぁ。やっぱ最初はアレだろ。」

永輝はそう言いながら上下に動く怖いヤツを指差した。

「ハイハイ、ケンカしない。2つとも乗ればいいんだから、最初はジャンケンで決めなよ。」

「もー、しょうがないなぁ、恨みっこなしだからね?じゃーんけーんぽんっ」

グーを出す愛奈。
パーを出した永輝。

「あっー!今、遅出しした!」

「そんなんしてねーよ!」

いや、完璧遅出ししてたね。今のは。

「まぁ、いいよ!私は大人なんで!小倉くんとは違ってね!」

「はあ?なんだと!?」

もうこれじゃきりがないよ。

「行こっか、辻久保。」

上村くんもきりがないと思ったのかそう言った。

「う、うん!」

別にドキドキしてなんかないよ?!
顔が赤いのは暑いからだし…!

ドキドキドキドキドキドキドキ

………心臓がもたないよ、これじゃ。