コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 紫は私の道をかえるカギ ( No.68 )
- 日時: 2014/03/14 22:58
- 名前: チャルトン (ID: Z6QTFmvl)
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「好きな…人…?」
「うん。いない?」
どうしよう。どうしよう。
言おうか…言ってしまおうか…。
私が好きなのは上村くんだと。
言うべきなのか……。
頭の中では悩んでいても、口は開きかけていた。
「わ、私は……!!」
でも、なんでだろう。
永輝の顔が頭に浮かぶ。
「上村くんのことが好きでしたっ!」
告白とか、そういうのはなんか観覧車のてっぺんみたいなイメージあるけど、観覧車はもうてっぺんを過ぎていた。
あ、あれ?でも、なんか私の言ったことおかしく…ない?
“でした”って………
クスッ
「過去形なんだ?」
上村くんは微笑みながらそう言った。
「あ、いや…!!え…と、その……!」
私は真っ赤になりあたふたする。
どうしよう。どうしよう!
やっぱり、言わなきゃ良かった!
わかってるじゃん!結果なんて最初から!
だいいち、“でした”って……!
………なんで、“でした”なの……?
「辻久保は永輝が好きなんでしょ?」
……え…?
私が…永輝を……?
「俺、見たんだ。さっき。」
上村くんは一拍おいて言った。
「辻久保と永輝がキスしてるとこ。」
「・・・・」
え。
「ええええぇぇぇえ!?」
私も一拍おいて叫んでしまった。
嘘でしょ?!
さっきの、見られてたんだ!?
し、しかも上村くんにだなんて!
でも、私がそんなに傷ついたりしてないのは、やっぱり…私が永輝のこと………
「本当は永輝が好きってこと言わせようとしてたんだけど…。」
上村くんは私を見てニッコリと笑った。
「俺のこと、好きだったんだ?」
な、なんか、上村くんにSの影が見えるのは、き、気のせい…だよね…あはは……
笑えないよ……。
私は苦笑しかできなかった。
少し瞳に涙を浮かべて。
- Re: 紫は私の道をかえるカギ ( No.69 )
- 日時: 2013/09/11 22:47
- 名前: チャルトン (ID: qiixeAEj)
「い、いや…。えぇーと……はい。」
俯きかげんで私は言った。
「ありがとう、辻久保。」
ニッコリ笑ってそう言う上村くんを見て私はホッとした。
よかった…。嫌がられてない…。
「本当驚いた。だって辻久保、全然俺のこと好きそうなそぶりしてなかったじゃん?どらかと言えば避けられてたと思うし。」
「避けてなんかないよ!た、ただ恥ずかしくて…恋愛とかそういうのには消極的なタイプだし…私。」
そう。私は自分から動こうとかあまり思わない。
だからほとんどの恋は見ているだけで終わってしまうはかない恋だった。
そんな私が今、告白(?)をしている。
なんか、自分が変わった気がする……
「そうなのか。消極的…。愛奈とは大違いなんだな。」
「え、愛奈は積極的なの?」
「うん。どちらかと言えば積極的だよ。あれは。」
嘘…。
愛奈は立っていれば男が寄ってくるようなもんだと思っていた。
だから、愛奈も消極的なんだって思ってたのに…。
私は全然愛奈のこと見てなかったのかな?
はじめて知ることばかりだよ…。
「今は愛奈のこと好きだからごめんね、辻久保。でも、気持ちは本当に嬉しかった。ありがとう。」
上村くんはまたニッコリと笑った。
クスッ
「まぁ、今のが告白っていうのかは謎だけどね。だいいち、今は俺のこと好きじゃないんでしょう?俺が辻久保のことフるのっておかしいよね?」
微笑して言う上村くん。
そんな姿もさまになってます。はい。
「ううん。フってくれてありがとう!なんか、心がスッキリした感じ!モヤモヤが吹き飛んだみたいな…」
私は笑いながらそう言った。
「なに?俺、モヤモヤだったの?」
上村くんも笑って言った。
「そう言うことじゃないよー!」
気づいたら、観覧車はもうすぐ終わりに近づいていた。
- Re: 紫は私の道をかえるカギ ( No.70 )
- 日時: 2014/03/14 22:48
- 名前: チャルトン (ID: uY/SLz6f)
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「……だから?それがどーしたよ?」
永輝は愛奈に冷めた声で言い放った。
愛奈は永輝から離れてため息をつきながらイスに腰を下ろした。
「なにその反応ー!マジつまんないんですけど。もっと動じてくれればよかったのにさー!」
「おまえ、本当なんなわけ?キモい。悪寒が止まんないんだけど。なにがしてーの?」
「女子にキモいとか言っちゃダメなんですー!冗談でも傷つくんですからね?」
ガンッッ
観覧車がグラリと揺れる。
「きゃっ!!」
愛奈はイスにしがみつく。
永輝が愛奈のイスを蹴ったのだ。
「…っざけんな!」
永輝は怒鳴り散らす。
「こ、怖ぁ…!」
愛奈は震えたような声で言ったが、永輝は常に愛奈を睨んでいた。
「もぉ…わかった。1つだけ教えてあげる。」
愛奈はニコリと微笑んだ。
「私ね、小倉くんのこと好きになっちゃった。」
「………は?」
永輝は目を大きく開く。
「ふざけてんのか?いい加減にしろよ、てめぇ。」
「ふざけてなんかないよ!私は小倉くんのことが好きになったの!」
「光太郎のことはどう思ってんだよ?光太郎はお前のこと好きなんだぞ。」
「上村くんのことももちろん好きだよ?でも、恋愛感情じゃないの。」
「………おまえ、本当最低だな。」
ひときわ低い声で永輝は言った。
「気持ちっていうのは、案外簡単に揺れ動くんだよ」
愛奈はそう言ってさっき永輝がやったみたいにイスを蹴った。
グラリと揺れる観覧車。
「これみたいにね。」
愛奈はクスッと笑った。
ガチャ
「お疲れさまでしたー!」
ゴンドラのドアが開き、従業員がにこりと笑っている。
「もう終わりかー!小倉くん、早く降りなきゃ、また上がっちゃうよー?」
愛奈はそそくさと観覧車から降りて行った。
「重要なのはこれからなんだからさ。」
ぼそりと言った最後の言葉の意味が永輝にはわからなかった。