コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
- Re: 紫は私の道をかえるカギ ( No.73 )
- 日時: 2014/03/14 23:02
- 名前: チャルトン (ID: Z6QTFmvl)
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ガタンという音と共に観覧車のドアが開いた。
「お疲れさまでしたー!」
従業員がにこりと微笑む。
「辻久保、先降りていいよ。」
上村くんはそう言って従業員と同じように微笑んだ。
「ありがとう。」
観覧車から降りると先に観覧車に乗った二人がいた。
まぁ、当たり前なんだけど。
「実衣菜〜!どうだった?観覧車!」
降りて早々愛奈は私に話しかけてきた。
「ど、どうって…。」
私の乗っていた観覧車が上がっていくギリギリのところで上村くんは降りてきた。
「上村くん!」
愛奈は上村くんに気がつくとすぐさま駆けつけた。
永輝を見ると眉間にシワを寄せ、怖い顔で愛奈を睨んでいた。
「上村くん、観覧車どうだった?」
「愛奈……」
「景色見た?景色!すっごく綺麗だったよね!」
「愛奈っっ!」
ビクッ
急に叫んだ上村くんに愛奈は驚いている。
いや、驚いてるのは愛奈だけではないのだが…。
「どういうつもり?」
上村くんが今まで聞いたことないような低い声で言った。
「…え…なにが……」
愛奈は戸惑ったような声でそう言う。
「はあ…。」
上村くんは盛大なため息をつくと私と永輝に言った。
「ごめん。愛奈と二人にしてくれないかな?」
「え、…えーと……」
「わかった。じゃあ俺らは先帰るわ。」
永輝はそう言って私の手を引いて歩き出した。
少し歩いて二人の姿が見えなくなったところで永輝に聞いた。
「ふ、二人きりにしてよかった…のかな?」
永輝は足を止め、少し後ろを歩く私を見て言った。
「それは…ただ実衣菜が二人っきりにしたくないだけじゃねーの。」
………え…?
「な、に…言ってるの?」
「光太郎のこと好きなんだからそう考える方が妥当じゃん。」
ズキン
「お前が光太郎のこと好きなことなんて最初からわかってたのにな。やっぱ…キツいわ。」
違う…私はもう上村くんのことなんて……
「俺やっぱやめよーかな。お前のこと好きなの。」
ドクン
胸が…苦しい。
やだ……。
「……なに泣いてんだよ。」
「…え。」
いつのまに…涙なんて……。
私はあふれでてくる涙を何度も拭った。
「そうやって…思わせ振りな態度とかやめろよ。」
予想以上に冷たい言葉を永輝に言われて胸が凍りつく。
「キスを拒まなかったからってちょっといい気になってバカみたいだよな。笑ってもいいぜ?」
永輝は今にも泣き出しそうな声で言った。
そんな永輝の姿を見たら言いたい言葉が出てこなくなってしまった。