コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

. ( No.6 )
日時: 2013/07/04 23:27
名前: 〒... しあち。 ◆InzVIXj7Ds (ID: n6vtxjnq)





「おーう、買ってきたぞ。あぁ寒ぃさみー」

 真二がコンビニから帰ってきた。薄着で行ったから寒そう。
 鼻まで赤くしちゃって、時季外れのトナカイみたい。

「ありがとー。何買ってきたの?」

「酒、チーズ、塩辛とか色々買ってきた」

 最初お酒とつまみしか買わないって言ってたのに、チョコやスナック菓子まで買ってる。

「色々って……」

「まぁいいじゃねえか。飲もうぜ」

 真二はそそくさと缶ビールを開ける。話逸らしたね。
 私も青リンゴ味の缶チューハイを開ける。プシュ、とリンゴの甘い香りがした。

「カンパーイ」

「カンパーイ」

 乾杯をし、美味しそうに飲む真二。
 そんな飲み姿を横目で見ながら飲んでいると、真二が「飲むか?」とビールを差し出してきた。
 それを受け取り、ゴクッと一口飲む。美味しいね、と言おうとしたら、先に真二が喋った。

「これって間接キスじゃね?」

 思わず吹きそうになった。何を行き成り言い出すのよこの男は。
 それより、さっきから頑張っても開かない塩辛に集中しなさいよ。

「な、何言ってるの、行き成り。吹きそうになったじゃないの」

「いや、何となく言っただけだけど……」

「な、何?」

 開きかけの塩辛を置き、私の方を向く真二。顔は普段通りおちゃらけているけど、真剣な眼差し。
 普段見ない眼差しに、動揺している自分がいる。

「間接より、直接の方が良くね?」

 え、えーっと……。

「よ、酔ってます?」

「酔ってねぇよ。マジだ」

 嘘だ、その言葉が放たれる事は無かった。

「で、キスして良いか?」

「……今したじゃない、ばか」

 不意打ちのキスに顔が熱くなるのが分かる。
 絶対今、顔真っ赤だ。

「馬鹿ってお前。それで、返答は?」

「う、ん。おっけーで……んぅっ……」

 言葉を言い切る前に、またキスをされた。
 それはさっきのキスではなく、深い深いキスだった。


 (リンゴ甘ぇな)
 (……ばか)



 ■ 間接より





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季節外れもいいところ。




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